Christmas Derby 2 ページ7
人が人を殴っている。何人も倒れている。
悍ましい光景に足が震えて、早くこの場を去らなければと思うのに体が動かない。
「テメェ何見てんだよ。」
一頻り殴り終わったらしき集団が立ち尽くす私に近寄ってくる。
夜の六本木に行った時も不良に囲まれたけれど、タカがいたから何とかなると思った。
だけど今は違う。
蘭ちゃんに、連絡しないと。
急いで携帯を取り出そうとバッグに手を入れるが、通報と勘違いされて襲い掛かってきたらどうしようと恐怖で手が止まる。
「ご、ごめんなさい…道、間違えて…、」
「へぇー？お兄さんたちが送ってってやろうかー？」
「可愛い顔してんじゃん。俺らと遊ぼっか、な？」
ゆっくり後退りして、来た道を引き返そうと走り出すも腕を掴まれてバランスを崩してしまった。
恐怖でいっぱいになった私は思わず泣きながら大声で叫んだ。
「いや！！蘭ちゃん助けてぇ！！」
痛い、怖い。
大人しく蘭ちゃんの言うことを聞いて、迎えに来てもらえばよかった。
蘭ちゃんの言う通りにすれば、こんなことにならなかったのに。
後悔と恐怖でぼろぼろ泣く私を半ば引きずるように路地の奥へと連れていく知らない男の人。
そのもっと後ろ、路地の奥の方から複数人の悲鳴が上がった。
「やべぇ！横浜天竺が来てる！聞いてねえぞ！」
「天竺だと…！？」
焦る男の人たちと同じ方向を見れば、誰かが喧嘩をしている光景が目に入る。
薄暗い路地でもはっきり分かる、すらりとした高身長と長い三つ編み。
「蘭ちゃ…、蘭ちゃん！！」
「…六本木の灰谷蘭！？」
あれだけいた男の人たちは1人を残して地面に倒れている。
近付いてくる4人の影に、私の腕を掴んでいる手が震えていた。
「テメェ灰谷蘭の女だったのかよ…！！」
「女じゃねえよ、嫁だバーカ。」
男の人の頭を鷲掴みにした蘭ちゃん。
今まで見たことのない殺意に満ちたその表情に私まで震え上がってしまった。
「可愛い嫁の前だ、やるのは俺じゃねえ。」
蘭ちゃんの後ろから竜胆さんたちがにやりと笑って近付いてくる。
「どこ折られてぇ？全身？」
「さっさとその汚ぇ手離せ。殺されてぇのか。」
「仲間の嫁泣かせてんだ。手加減はしねぇ。」
蘭ちゃんが「耳塞いでろ」と私に囁き、何も見えないようにと強く抱きしめてくれた。
ごめんなさい、そう呟くのと後ろから響いた断末魔が重なった。
Christmas Derby 3→←Christmas Derby 1【side蘭】
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れん(プロフ) - 菜穂さん» 教えていただけて助かりました…！ちょっと崩壊気味な蘭ちゃんのお話ばかりですが、読んでいただけてとても嬉しいです！またお時間のある時に見ていただけたら幸いです☺️ (1月20日 16時) (
レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - れんさん» いえいえ！それは仕方ないですよ。感想もなしに指摘してしまいすみません。とても良い作品ですね、応援してます (1月20日 0時) (レス) @page8 id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 菜穂さん» 菜穂さま、ご指摘ありがとうございます！毎回更新するたびにチェック入ってしまうので、これからは確認してから保存するように気をつけます…！ (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ありかさん» ありかさま、コメントありがとうございます！その二文字をいただけて嬉しさしかありません…！😭 (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - お/り/ふ/ら立ってますよー (1月19日 20時) (レス) id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年1月17日 0時
