佐野家に行く 2 ページ4
「歩いて行く？電車乗る？」
「Aにはタクるって選択肢ねえの？」
「だって乗り慣れてないもん。この歳でタクシー乗り回してるのは蘭ちゃんくらいだよ。」
電車に乗ろうと、六本木駅まで手を繋いで歩く。午後の早い時間帯でもたくさんの社会人や春休み中の学生で溢れかえっていた。
「やっぱその服買って正解だったなー。」
「当分お洋服いらないからね？持ってきたやつもあるんだから。」
お金持ちの蘭ちゃんからしたら、私が持っている服は安くてダサくてセンスのかけらもないのかもしれない。
それでも私が気に入って買った物ばかりだし、タカも一緒に選んでるからセンスはそんなに悪くないと思っているんだけど。
「俺が選んだ服着せて歩かせるの最高じゃねー？♡」
「自分が選んだのを身につけてくれると嬉しいのは分かるよ！」
蘭ちゃんは事あるごとに私の写真を撮る。誰に見せるわけでもないらしく、一つの記念としてたまに見返しているのだと言っていた。
私の携帯にはあんまり蘭ちゃんの写真がない。
いつ撮るべきなのか、実は未だに分かっていないのが正直なところ。
ホーム画面は横浜中華街へ遊びに行った時、竜胆さんが撮ってくれた綺麗な写真のまま。蘭ちゃんも同じで、お揃いなことが嬉しくなる。
駅のホームに着いた電車はそれなりに混んでいて、たくさんの人が出て来るのと入れ替わりで私たちも乗り込む。
残念ながら座れそうな席は空いていなかった。
「A、手ェ繋いでな。人多いから変なことされたらすぐ言えよ？」
「ありがとう蘭ちゃん。」
私を覆い隠すように蘭ちゃんが目の前に立ってくれる。
いつも意地悪なことを言ったり、からかって私の反応を楽しんでいる蘭ちゃんが真剣な顔で優しく指を絡ませてくれた。
大事にしてもらえてるんだなって、心の中が温かくなる。
ぼーっと車内の広告を眺めていたら急な揺れによろけて、蘭ちゃんに寄り掛かってしまった。
「っと、ごめんね…！」
「おいでA。また人乗ってくるから。」
蘭ちゃんにぴたりとくっつくように抱き寄せられて、恥ずかしさと嬉しさが混ざったような感情につい頬が緩んだ。
大好きな匂いに包まれて目を閉じ、繋いだ手に力を込める。
「蘭ちゃんあんまり電車乗らないよね？」
「駅まで行くのダルいしなー。人混みもうぜぇし。」
「私、蘭ちゃんと電車乗るの好きになりそう…！」
「…やっぱ学校まで送り迎えするか♡」
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れん(プロフ) - 菜穂さん» 教えていただけて助かりました…！ちょっと崩壊気味な蘭ちゃんのお話ばかりですが、読んでいただけてとても嬉しいです！またお時間のある時に見ていただけたら幸いです☺️ (1月20日 16時) (
レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - れんさん» いえいえ！それは仕方ないですよ。感想もなしに指摘してしまいすみません。とても良い作品ですね、応援してます (1月20日 0時) (レス) @page8 id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 菜穂さん» 菜穂さま、ご指摘ありがとうございます！毎回更新するたびにチェック入ってしまうので、これからは確認してから保存するように気をつけます…！ (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ありかさん» ありかさま、コメントありがとうございます！その二文字をいただけて嬉しさしかありません…！😭 (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - お/り/ふ/ら立ってますよー (1月19日 20時) (レス) id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年1月17日 0時
