早起きする 2 ページ2
「…えぇ…?」
私はいつも通りアラームを掛けなくても7時には目が覚めた。
蘭ちゃんが同じ時間に起きることなんて無理に決まっている、そう決めつけていたのに。
横を向いたら蘭ちゃんがいなかった。
そう、私は一人でベッドに横たわっていたのだ。
慌てて部屋を出ると、リビングで朝の情報番組を眺めている蘭ちゃんが「おはよう」と声を掛けてきた。
勝ち誇った顔をして。
「おはよー。蘭ちゃん、起きれたんだね。」
「俺はカリスマだからな♡」
「カリスマ関係ある…?竜胆さんも、おはようございます。」
「おはよ。」
何だか負けた気分。なんて、蘭ちゃんに失礼だ。
絶対起きれないと思ってたのにと漏らす私に、未だにドヤ顔を崩さない蘭ちゃんがにやりと笑った。
「Aちゃん、パン焼けた。兄ちゃんの分も一緒に乗せとくよ。」
「ありがとうございます!」
「竜胆ー、俺コーヒー。」
「はいはい。」
竜胆さんが焼いてくれた食パンを齧る。ほんのり甘くてもちもち、蘭ちゃんが買ってくれたお気に入りの生食パン。
「蘭ちゃん何時起き?」
「んー?内緒♡」
私と同じように食パンを齧る蘭ちゃんが意地悪く笑った。
内緒にする必要があるのか疑問だが、言いたくないのなら無理に聞き出すのもよくないと思ってそれ以上は何も言わなかった。
テレビから流れる今日の占い、私は3位だ。
蘭ちゃんは占いを信じていないようで、自分の順位には興味がなさそうだった。
「朝ご飯食べると眠気が覚めるね!」
「だなー。」
もちもちの食パンを堪能していた時だった。
「兄ちゃん、今日寝てないよ。」
ソファの端っこに座る竜胆さんがパンを咀嚼しながらぽつりと呟いた。
どういうことだと竜胆さんを見れば、視線はテレビに向けたままもう一度「オールしてる」と言った。
「蘭ちゃん寝てないの!?」
私を後ろから抱きながら座る蘭ちゃんに向かって勢いよく振り向けば、優しげな垂れ目がいつもより開いていない…気がした。
正直、誤差レベルだけど。
「竜胆ー、それは言わねえのがお約束だろー?」
「別にいいじゃん。寝坊するよりマシだろ。」
ご馳走様、先に食べ終わった竜胆さんがキッチンへ逃げた。
「蘭ちゃん、そこまでして朝起きてなくていいんだよ!」
「格好つけさせろよ。可愛い嫁のためならオールも平気♡」
「だ、だめだから!」
この後蘭ちゃんは爆睡し、次に目が覚めたのは20時だった。
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れん(プロフ) - 菜穂さん» 教えていただけて助かりました…!ちょっと崩壊気味な蘭ちゃんのお話ばかりですが、読んでいただけてとても嬉しいです!またお時間のある時に見ていただけたら幸いです☺️ (1月20日 16時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - れんさん» いえいえ!それは仕方ないですよ。感想もなしに指摘してしまいすみません。とても良い作品ですね、応援してます (1月20日 0時) (レス) @page8 id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 菜穂さん» 菜穂さま、ご指摘ありがとうございます!毎回更新するたびにチェック入ってしまうので、これからは確認してから保存するように気をつけます…! (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ありかさん» ありかさま、コメントありがとうございます!その二文字をいただけて嬉しさしかありません…!😭 (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - お/り/ふ/ら立ってますよー (1月19日 20時) (レス) id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れん | 作成日時:2024年1月17日 0時