早起きする 1 ページ1
「てかさあ、俺気付いちゃったんだよね。」
「何を？」
大きなテレビに映る番組をぼんやり眺めながらおやつを食べていた時だった。
蘭ちゃんが突然ぼそりと呟き、視線を向ける。
「高校行くんだろ？実家よりこの部屋からだと遠くなる？」
「遠くなるよ。電車通学になるね。」
「だよなー…。」
入学が決まっている高校は実家から割と近場にある。
行きたい高校がなかった私は定期代がかかるのが嫌で徒歩通学出来そうな高校を選んだのだ。
ちなみにタカも同じ高校。
「送り迎え必須だな♡」
「何で？そこまでしなくていいよ。」
「朝の通勤ラッシュでもみくちゃにされるAは見たくねー。痴漢に遭うかもしれねえし？」
「あー…いや、ないでしょ。こんなの触ってどうするの。」
ないない、あり得ない。
そういう悪いことをする人の心理は分からないけれど、私みたいな何の特徴もない人間が狙われるなんて天地がひっくり返ってもあり得ない。
そう話すと蘭ちゃんは私を痛いほど抱きしめて、むっとした表情で諭すように話し始める。
「Aは可愛い。自分が思ってる以上に可愛いの。俺だったら秒で狙う。」
「それは蘭ちゃんが私のこと好きだからだよ。」
「断言する。絶対痴漢される。もしそんな目に遭ってみ？相手は勿論、周りにいた奴らも助けなかった罪でぶっ殺すからなー？」
いや、怖すぎるんですけど。
時々、私の彼氏は有名な不良だということを忘れてしまいそうになる。
私の前ではいつも格好良くて優しい彼氏に違いないけれど、六本木のカリスマと呼ばれていることも知っている。
簡単に殺すだの殴るだの言うけれど、冗談に聞こえないのは蘭ちゃんが根っからの不良だからだ。
最近は特に喧嘩もしていないらしいけれど。
「聞いたよ蘭ちゃん。朝起きるの苦手だって。」
「は？誰に？」
「竜胆さん。」
竜胆さんの部屋を指差して暴露する。ちなみに今は外出中。
「だから無理しなくて大丈夫だよ。行ってらっしゃいって見送ってくれたら、それだけで嬉しい！」
「Aのためなら早起きくらい余裕だけど。」
「えー？…じゃあさ、試しに明日早起きしてみようよ。」
まだ入学式前で休みを満喫している私はほとんど毎日朝7時に起きている。
対する蘭ちゃんは早くてもお昼過ぎ、放っておくと夕方頃に起きてくる。
「朝7時？んなモン余裕すぎ♡」
真逆の生活をしている蘭ちゃんが私に合わせられるのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れん(プロフ) - 菜穂さん» 教えていただけて助かりました…！ちょっと崩壊気味な蘭ちゃんのお話ばかりですが、読んでいただけてとても嬉しいです！またお時間のある時に見ていただけたら幸いです☺️ (1月20日 16時) (
レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - れんさん» いえいえ！それは仕方ないですよ。感想もなしに指摘してしまいすみません。とても良い作品ですね、応援してます (1月20日 0時) (レス) @page8 id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 菜穂さん» 菜穂さま、ご指摘ありがとうございます！毎回更新するたびにチェック入ってしまうので、これからは確認してから保存するように気をつけます…！ (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ありかさん» ありかさま、コメントありがとうございます！その二文字をいただけて嬉しさしかありません…！😭 (1月19日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
菜穂(プロフ) - お/り/ふ/ら立ってますよー (1月19日 20時) (レス) id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れん | 作成日時：2024年1月17日 0時
