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その日、その時。私は転んで足を捻って動けなくなっていた。

「何をしているんだい?」

それが先輩だった。私の上司である中也さんの相棒。少年のような見た目に反して五大幹部の一翼を担う実力者。

先輩は黙っている私に呆れた視線を投げ掛けて、しゃがみ込んだ。

「早く乗り給えよ。怪我をしているんだろう?」

それでも動こうとしなかった私にしびれを切らしたのか、先輩は腕を掴んで半ば強引に私を背負った。

血と硝煙の臭いがした。深い深い、業の香りだ。

「君、中也の部下だね?」

唐突な彼の言葉が理解出来ず首を傾げると、先輩は私の首に巻かれているチョーカーを指摘した。

「……そんな物を着けさせるだなんて、中也もよっぽど気に入っているんだね」

ぼそりと呟いた先輩は振り向くことなく続ける。

「競馬の馬や家畜というのはね、怪我をすれば直ぐに殺されてしまうのだよ」

────治療するより殺してしまう方がお金が掛からない。

「私も使えなくなった部下は早々に切り捨てる。それが一番合理的だからね」
「……私も、殺すんですか?」
「いいや。首領がわざわざ中也の傍に置いて守らせている位だからね。如何なるか判らないよ」

驚いた。

私は形式上中也さんの部下という事になっているけれど、本当は万が一の危険をも排する為の森さんの計らいによるものだ。それを彼は一瞬で見抜いた。

先輩は医務室まで私を運ぶと、捻った足首を素早く手当てしてくれた。

「歩けるかい?」
「はい。有り難う御座います」

気を付け給えよ、と薄く笑い先輩は去って行った。



これが先輩との出会い。



遠い日の夢だった。

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ラシェーヌ(プロフ) - 谷崎さんの方も、お気に入りさせてもらってます!頑張ってください! (2017年3月10日 0時) (レス) id: 3e6f568126 (このIDを非表示/違反報告)
yol(プロフ) - ラシェーヌさん» ありがとうございます!谷崎さんの方も是非見てやって下さいませ… (2017年3月9日 20時) (レス) id: 6c952932f6 (このIDを非表示/違反報告)
ラシェーヌ(プロフ) - 感動しました!完結おめでとうございます! (2017年3月9日 9時) (レス) id: 3e6f568126 (このIDを非表示/違反報告)
yol(プロフ) - ミカさん» ひぃいいこんな拙作というか駄作でそんなコメントを頂けて嬉しいです!次回作も是非に… (2017年3月7日 21時) (レス) id: 6c952932f6 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - すいません…泣いてしまいました!良かったです…良かった…本当に良かったです!すみません、泣きながらなので文が変ですが許して下さい!でも感動しました!最後に一言太宰さんやっぱり貴方は最高だ!!! (2017年3月7日 21時) (レス) id: 17d57460f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yol | 作成日時:2017年1月31日 22時

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