process98.ドリームブレイカー ページ49
気付けば時計は18時前を指していた。
「さてと、俺らも帰ろか?」
「ちょっ…白石!ユウジに声かけていかんでえぇんか?」
公園の出口に向かって歩き出す白石を急いで追いかける。
「流石のあいつもオレらに気ぃついてるやろ。オレらにどうにか出来る問題でも無いし」
「それはそうやけど…」
煮え切らない謙也は渋い顔をする。
「このままグリーン役のじいさんが復帰することがなくて、ユウジが部活に来れんようなってもお前はえぇ言うんか?」
白石はぴたっと立ち止まる。
「…それはユウジが代役やなくなって、後任になるってことか?」
「…それは…」
謙也は気まずそうに目を逸らす。
「あいつは戻ってくる。必ずな。」
白石はそうきっぱり言うと、公園を出て行った。
「…大丈夫だよ謙也くん。私も白石部長の言う通りだと思う。ユウジくんは戻ってくるよ、きっと!」
言って、志暢は謙也にハンカチを差し出す。こんなものでもせめて顔の水滴を拭いてくれ、という意味合いを込めて。
「…おぉ、おおきに。それにしても…なんかなぁ」
「なんスか?」
謙也は珍しく複雑そうな顔をしていた。何とも言えない、上手く言葉に言い表せない、そんな感じだ。
「オレな、白石てもうちょっとアホやと思ててん」
「…はぁ?」
予想外の言葉に志暢と財前は声を揃える。
いや、あんたが一番のアホだろ、と。
「なんて言うたらええかよく分からんねけど…白石は頭は良えねん。でもあいつは人間性の問題でアホいうか」
「そんなこと言ったら白石部長に怒られるよ…」
「そうやないねん。あいつ、カブトムシとか好きやろ?カブリエルて名前つけて飼ってるし。健康オタクやし。寝るときパンイチやし。成績はごっつ良えねんけど。そういう意味のアホや。」
言いたいことは、なんとなく分かる。
隣を見れば、財前も同じような顔をしているのだ。
そしてそれは、ここにいる人間がなんとなく感じている『違和感』が原因なのだと理解することも出来る。
「あえて言葉にするなら…そうやな、妙に理解が良すぎる。あいつは普段からもっと面倒くさい。」
それだ。それなのだ。つまりそういうことだ。
謙也くん、君は実は頭が良いのかもしれない。
「はぁ…まぁいいや。取り敢えず帰ろう?」
「せやな。おーいそこのガキンチョ!小学生はもうとっくに帰る時間やでぇ!」
「そうだよーあ、そこの君知ってる?ホーモーグリーンって実はホーモー…」
「ガキの夢壊すなアホ!」
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皆を騙す詐欺(ぺてん)師 - めっちゃおもろい(*≧∀≦*)(´∇`) (2018年1月23日 16時) (レス) id: 237e1b1da0 (このIDを非表示/違反報告)
皆を騙す詐欺(ぺてん)師 - 本気と書いてマジと読む。ですね( ☆∀☆)www (2018年1月23日 16時) (レス) id: 237e1b1da0 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - ゆうさん» あ〜、だんだんとねwwww (2014年8月7日 23時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - クルエルさん» クライマックスで、だけどww最初はギャグだわww (2014年8月7日 22時) (レス) id: 5b35e72707 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - ゆうさん» マジか!ドンと来い!!← (2014年8月7日 22時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆう | 作成日時:2014年8月6日 23時