四天宝寺のお約束part2

process54.お互い様な仲直り ページ5

「賭け？」


謙也の突然の言葉に疑問を感じる財前。


「せやな…卒業…オレが卒業するまでにお前のデレが見られたら…」



「え？」



「もしお前のデレが見られへんかったら…オレがこれから先ずっとお前にぜんざい奢ったるわ」



どや？と笑う謙也を見つめる。



「…今の嘘やないですよね？…ぜんざい」



「お前が惹かれるのはぜんざいだけかい…ま、男に二言は無いでぇ」



「ほならオレが勝ったらぜんざい、謙也さんが負けたらアンタが全裸で校庭100周っちゅうことでファイナルアンサー？」




「ノットパイナップルアンサーや！なんでオレ勝っても負けても罰ゲームやねん！全裸で100周って何の恨み！？」



「パイナップルアンサーやのうてファイナルアンサーや」


「それはどうでもええねん！」



「あーもう…！」とまだ反論しようとする財前を遮る。



「で？」



「ええですよ、受けて立ちますわ。
ぜんざいの為に」



メフィストを連想させるような不吉な笑みを浮かべる。





新たに交わされる約束…




その結末はまた別のお話で…。









「先輩」




「げっ…財前君…と謙也くん」




一夜明けて朝。
夏休みの練習の為、登校した学校内で
髪を揺らしながら歩く少女を見つける。




その表情はどこか不安気で、そしてどこか警戒しているような雰囲気が見受けられる。





そんな彼女の下へ、一歩一歩近付いていく




ばっ



「先輩…昨日は「ごめんなさい！」」





財前の顔面に差し出されたそれは







紛れもないお汁粉だった。




「ごめんなさい…私勝手に怒っちゃって…ただ二人は…素直に自分の意見を言ってくれただけだったのに…」





「気にすんな悠木。オレらもその…悪かったな」




「ううん…そりゃ謙也くんには殺意を覚えたけど…」




「何故！？」





「私…マネージャー失格だね」



「そっすね」




「あべしっ！なに？！」




バサッ何か柔らかいもので頭を打ち付けられ、
Aはがばっと顔を上げる。





「ま、今回のことはお互い様ってことで。
これでおあいこにしましょーや」




「は？…あ」



「な、な、財前ちょっとオレにも一口頂戴や、お汁粉」



「謙也さんと間接キスとか…死んだほうがマシやわ…」



「この外道！腹黒！鬼畜ピアス！」




…嗚呼…




…仲直り…出来て良かった…







今しがた財前にぞんざいに差し出されたカステラを食べる。







「…約束は守らせてもらうよ…部長」

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