四天宝寺のお約束part2 (ページ39)

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process88.迷走ページ39

「…あ」

「…何やねん」

「さっき自販機でおでん缶買ったばかりなのにまたコンビニでおでん買っちゃった」

「……………………」

＊

「もしかして迷ったんちゃいますか部長？」

「マジか白石」

山を登り始めてはや二時間。延々と続く木や雑草を眺めながら歩き続けたいるとあれ？なんかさっきもこの木見たんじゃね？みたいな空気になり始めた頃、始めて財前が切り出した。

「いやいやでも白石に限ってそんなことあるはず…なぁ白石？」

「………」

「…あの…なんでさっきから黙っとん？」

「…実はさっきからずっと黙っててんけど…今何時や？」

「はあ？」

白石からの唐突な問いかけに謙也は呆れ、財前は怪訝そうに答える。

「…何時って…そら山登り始めて二時間くらい経ってるんで12時過ぎてんとちゃいます？」

「…やんなぁ」

「何が言いたいねん白石？」

「日の出ってさあ…大体昇んの何時くらいやと思う？」

「何時って…あ」

財前が何かに気付いたように黙る。

「…早くても5時くらいやねんなぁこれが。」

「…つまり」

「あと約５時間は暇潰ししながら登るゆうことやな」

銀が苦笑いしながら後を続けた。

「ごっ５時間んんん！！？」

「ちょっとユウくんしっかり！どういうことやの蔵りん！？」

小春が泡を吹いて倒れたユウジを介抱しながら白石を問い詰める。

「いやあースマンな。ちょっと時間勘違いしてたみたいで。まぁ誰にでもあるカワイイミスや。堪忍やで。」

「勘違いのレベルちゃうやろ！５時間やぞ５時間！何がカワイイミスや！！」

「大丈夫、想定内や。トランプとウノ持ってきたから…」

「財前手伝え！この糞部長を木に縛り付けて置いてくで！」

＊

「姉ちゃんあともうちょっとやなあ！」

「そうだね金ちゃん。あともうちょっとだけ我慢しようね」

コンビニで温かいもの(おでん)を買い、近くにある神社に辿り着くと、既に長い長蛇の列が出来てしまっていた。

「それにしてもすっごい人やなぁこんな夜中に。さっきから知り合いもちらほら見えるわ」

「小石川君」

「ん？」

「白石部長達大丈夫かな？」

「…まぁ千歳とか財前とかもおるし案外大丈夫とちゃうか？」

「…だといいんだけどねぇ」

＊

「白石部長、ごめんなさいは」

「ごめんなさい！もうしません！だから下ろして下さい財前！いやもうほんま頭バーンってなりそう！」

結論:全然大丈夫じゃなかった。