四天宝寺のお約束part2 (ページ20)

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process69.君に贈る花言葉ページ20

あれから数日後。

私達はあの河川敷に訪れていた。

小石川がよいしょっと屈む。

「…よしっ…とこんなものかな」

石碑なんて立派な物は私達中学生には無理だけど、テニス部の皆で頑張って木を使って仕上げた。

石碑の隣に木製の小さなお墓を建てる。

もう離ればなれじゃないんだよ

姿形は無くなっても
心は共に…

「あっちでご主人と会えてたらええな…」

白石がぼそっと呟いた。

「…そうだね」

「あっ」

「え？」

小石川が突然、ポケットをゴソゴソし始める。

「確か…ここに…あったあった」

手出して、と言われるがままにすると、掌にころん、と何を落とされる。

「…あ！」

『それでね、貯金箱の奥底にこんなもの見つけたの』

『…アサガオの種？』

『うん。いつからあるのか、誰に貰ったのかさえ思い出せないけど、小石川君にあげるよ』

「綺麗な花いっぱい咲かせたらちくわ丸も喜ぶやろ、なっ！」

「金ちゃん」

「……………………」

「金ちゃんお水あげよう！いっぱいあげよう！
それで綺麗な花、いっぱい咲かせようね」

金太郎はニッと笑って答えた。

「…うんっ！」

「おーい悠木ー！」

「あっ謙也くん達！」

「皆、すまんかった。肝心な時に役に立てへんくて…」

「何言うてんねん！水くさいで銀」

「白石部長、オレ風邪ひいたんですけど。労災って出ますかね」

「なんやねん軟弱やな～それでも四天宝寺テニス部レギュラーかいな！」

「謙也さん爆死志望」

「理不尽！！」

「…固い絆…」

「うん？」

後ろを振り返ると、長身の千歳が立っていた。

「…アサガオの花言葉…やね」

そう言いながら、少し悲しげに千歳は微笑む。

その意味が分かったからこそ、白石もﾌｯと顔を緩ませる。

「…さてとそろそろ行こか」

白石部長の言葉にぞろぞろと皆が河川敷から出ていく。

「…金ちゃん？」

未だ墓の前で立ち止まっている金太郎に声を掛ける。

振り向いた金太郎は
少し寂しげな表情だった。