process63.幸せの定理 ページ14
『なぁ猫よ 俺は後悔している。
お前と沢山遊んであげられなかったことに。
美味しい餌も満足にあげられなかったことに。
…そして
お前の最期を見届けられなかったことに。
俺の人生は後悔ばかりだ。
なぁ 猫。
こんな俺と出逢って お前は幸せだったか?』
**********
「とりあえず…帰れや」
こちとら病人連れてるのにそれは無いよね、開口一番。
風邪気味だという財前君を連れて謙也くんのお家(病院)に訪れたのは放課後のことである。
「酷いな心の友。こちとら病人の後輩連れてわざわざやってきたのにそれは無いよね」
「せやかて保険証無いんやったら話にならんやろ。そこまでユルユルな病院やないねんスマンな」
「嘘つくなオープンスケベ」
「誤解生むような卑猥なこと言うな!」
保険証忘れた私達(つか財前)が悪いんだけどね。つかスケベってそこまで卑猥か?
傍らでダルそうに立っている財前君に「スケベは卑猥か?」と問いかけようとしたそのとき
視界に何かが突っ込んできた。
「…小石川?どないしたそんな息切らして」
「ハァ…ハァ…け 謙也…ここ動物も診てもらえるか…!?」
いきなり病院に突っ込んできた小石川。
その腕の中には例の子猫がいた。
「ちくわ丸!…え…ちょっどうしたの?」
「…ぐったりしてて様子がおかしいっスね…」
財前も珍しく近くに寄ってきた。
財前の言葉に小石川の表情も険しくなる。
「帰ってきたら…様子がおかしくて。自分の足で歩けへんみたいやねん」
子猫を床に下ろしてみる。
猫はヨロヨロと立ち上がったが、直ぐにこてんっと転んでしまった。
「いくらなんでも動物は…いやオトーン!ちょっとヤバいねんけど!オトーン!!」
何か思い付いたのか父親を呼びに行った謙也を不安げに見つめる。
そうしてる間にも
子猫はヨロヨロと何度も立ち上がっては、何度も何度も転んでしまう。
まるで誰かに呼ばれているかのように。
必死に外に出ようとしている。
何度も
何度も
何度でも。
たまらず私はちくわ丸を抱き上げる。
驚くほど軽かった。
「ねぇちくわ丸。君は一体どこへ行こうとしているの?」
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皆を騙す詐欺(ぺてん)師 - めっちゃおもろい(*≧∀≦*)(´∇`) (2018年1月23日 16時) (レス) id: 237e1b1da0 (このIDを非表示/違反報告)
皆を騙す詐欺(ぺてん)師 - 本気と書いてマジと読む。ですね( ☆∀☆)www (2018年1月23日 16時) (レス) id: 237e1b1da0 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - ゆうさん» あ〜、だんだんとねwwww (2014年8月7日 23時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - クルエルさん» クライマックスで、だけどww最初はギャグだわww (2014年8月7日 22時) (レス) id: 5b35e72707 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - ゆうさん» マジか!ドンと来い!!← (2014年8月7日 22時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆう | 作成日時:2014年8月6日 23時