四天宝寺のお約束part2

process51.心のオブラート ページ2

「…そんで結局何しに来たんすか。早よ帰れ。特に謙也さん」


「迷惑なん分かってるけど…オブラートに包んでくれ、せめて」



「オブ帰れラート」



「…………………オレもう泣いてええかな」





泣くな、謙也くん。明日はまた来るぞ。


こっちだって手土産(ぜんざい)は忘れたものの、別に用も無しに後輩の家に転がり込んだ訳では無い。



「あ、そういえば師範から伝言預かってるんっすわ。」



「…何て」




「…『どうかお元気で』…と」




「何銀さん死ぬの？死ぬの？」




終業式の日、『修行の為１週間山に籠る』と私達に暫しの別れを告げた銀さんの言葉に私は困惑する。




「…本格的に僧侶目指すんとちゃいます？」




「止めな、推測だけで決めつけるのは。」






銀さんがテニスを辞める？
そんなのダメ、絶対。私が認めない。




銀さんは私達の仲間なんだから。
いなくなるなんてあり得ない。






「…銀さんもみんな全員揃って四天宝寺テニス部なんだから。誰か一人でもいなくなるなんてあり得ない。だから冗談でもそんな推測しないで、ね？」



「……………………」






「…何謙也くん」




不意に今まで沈黙していた(珍しい)謙也くんがポンっと肩に手を置いた。




「実は…オレらのこと好「や、謙也くんは微妙だよ？」オブラートォォォォ！！！」





耳元で発狂しないで、いや本気(マジ)で。





「…そんで今日は一体何の用件で？」




「ああ、今度市民プールに友達と遊びに行こうと思ってるんだけどドット柄の水着とストライプ柄の水着どっちが良いかな？って相談に」




「…何でそないなこと男のオレに聞くんすか」



「男だからこそ聞いているんだよ。男の子の客観的な意見も大切かなーと」





そんなあからさまに溜め息吐くなよ！
気持ち分かるけど！




白石部長に相談はなんとなくアレだし(エクスタシー的な？)、小石川君に至っては論外、千歳君は「何でもよか〜」とか言うだろうし、銀さん？白装束勧めてきそう。


ま、要するに一番まともそうなのが財前君だったって話。

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