M 吉田裕太 ページ8
「おめでとうございます、裕太さん」
ずっと待ち続けていたこの日。
2年ぶりのホームラン。
向かい合って伝えたかった。
「ありがとう、A」
長い間、ひたすら悩み抜いて苦しみ続けてた姿を見てきた。
誰より練習してたのも知ってる。
自分のことのように嬉しい。
でも、あなたは。
「まあ、負けちゃ意味ないんだけど」
一度ぱっと浮かんだ、私の大好きな、はにかむような笑顔はすぐにしぼんで。
ぼつり、零した言葉。
「注意が、足りなかったんだよな……」
待ちわびた裕太さんのホームランの後、満塁ホームランで試合には負けた。
「高めの真ん中」
「昨日も打たれてんのに」
「甘いんだよ、な」
俯いて、いくつもいくつも後悔の言葉を静かに落としていく。
あの一球はもう考えないで、ホームラン打てたじゃないですか！なんて言えない。
野球選手として裕太さんのことが好きなら、華々しいホームランだけで喜んでたらいい。
でも、吉田裕太さんが、好きなんだ。
辛いことも全部受け入れたい。
だけじゃない。幸運にもこんな近くにいられるんだから、一緒に乗り越えたいんだ。
「裕太さん」
俯いたまま沈みこんでしまった裕太さんを、ゆっくりと抱き締めた。
私は、打率だとか打点だとか、あなたの成績が上がっていくのがとても嬉しいんです。
でもあなたはそれよりも、チームの勝利がなによりの喜びなんですよね。
そんなふうに思える裕太さんが、私は好きです。
そんなふうに思える裕太さんを、誇らしく思います。
……ちゃんと言えてたかは分からないけど、そんなことを思うままに一方的に伝えた。
胸元に顔を埋めると、背中にゆっくりと腕が回される。
そして、しっかりと抱き締められる。
「……A」
しばらくそのままでいたら、不意に名前を呼ばれた。
見上げると、
「泣くなって」
「泣いてないです」
「いやマジで泣いてるって」
いたずらっぽく笑う裕太さん。
さっきまでとはまるっきり違う、すっかり明るくなったその笑顔を見たら、本当に涙がこみ上げてきてしまった。
ぽろぽろ涙を零す私に柔らかく微笑んで、優しく指で涙を拭ってくれる。
「もっと俺が打てるようになったら、泣かせないで済む？」
「……そしたらもっと泣くかも」
「どうしようもないじゃんそれ！」
「ウソですよ嬉しいです」
こうやって二人で笑い合う時間が少しでもあなたの支えになっていたら、それが私の幸せです。
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はる(プロフ) - HAさん、はじめまして！何回もお邪魔してます(^-^)初めてのリクエストをさせてください。Gの坂本選手で、リハビリを頑張る彼と、それを支える彼女ののほほんとした日常…そんな感じのお話をお願いします！お忙しいと思いますが、よろしくお願いします(^o^) (2018年7月31日 22時) (
レス) id: 769779b620 (このIDを非表示/違反報告)
貴子(プロフ) - リクエスト答えてくださりありがとうございました^^HAさんのお話とても好きです！更新頑張ってください！！ (2018年6月4日 19時) (レス) id: c30e1bf1a1 (このIDを非表示/違反報告)
貴子(プロフ) - HAさん» 良かったです！ありがとうございます^^ (2018年6月2日 18時) (レス) id: ce7d14e8eb (このIDを非表示/違反報告)
HA(プロフ) - 貴子さん» 了解です、なんとなく言いたいことは分かる気がするので大丈夫ですよ〜 (2018年6月2日 18時) (レス) id: 86b5deaff9 (このIDを非表示/違反報告)
貴子(プロフ) - HAさん» シチュエーションではないのですが、夢主が球団職員じゃないようにして頂きたいです。へんな申し付けすみませんm(_ _)m (2018年6月2日 14時) (レス) id: ce7d14e8eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HA | 作成日時：2017年8月10日 16時
