虹色と雲Ｒ (ページ10)

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「私、年上の知り合い居ないから、すごく新鮮。もしかして、弟とか妹居る？謙太郎くんって、お兄ちゃん気質だよね」

「…………年下ばっか相手にしてるからかも。ちなみに俺、ひとりっ子」

「そうなんだ。面倒見がいいんだね」

　なんて話していたら
　辺りはすっかり真っ暗で。

　そろそろ帰ろうか、と立ち上がった謙太郎くんに続いて
　私も立ち上がる。

「ここから近いんだよね？」

「うん。まあ、そこそこ」

「じゃあ、家着いたら電話して」

「電話？どうして？」

「ちゃんと無事に帰れたか心配になるじゃん」

「……過保護じゃない？」

「送りたいの我慢してるんだから、それくらいは許して」

　ね？と首を傾げる謙太郎くんは
　自分の可愛さを熟知してるみたいであざとかった。

　送りたい。でも我慢。
　それはきっと、私の為なんだろう。

　私以上に私のことを気にしてくれるから
　何だかもういいかなって思うけど、
　せっかくの優しさを無駄にすることになる。

　だから、私は「わかった」と頷き返した。

「またね」

「うん。また」

「…………あのさ」

「うん？」

「…………会わなくても電話とか、してもいい？」

「……………………いい、よ」

「ほんと？ ……よかった」

　そして別れた帰り道。

　電話したい。送りたい。また、会いたい。
　さすがにその意味がわからない程鈍感ではなくて。

　どうやら、謙太郎くんは
　何故だか私のことを気に入ってくれているらしい。

　……何で？