虹色と雲Ｒ (ページ7)

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　……何だか、よく笑う人だな。

　正直、服装とか髪型的に結構キツめというか
　怖い人かもって思ってたから少し意外。

　でも、失礼なこと言っても
　全然怒る素振りは見せないし、
　それどころかどこか嬉しそうで。

「ごめんね」

「え？」

「それ。荷物増えちゃったよね。学校なのに」

　それ、と視線を向けるのは
　隣の席に立て掛けたヴァイオリン。

「ああ、いえ、大丈夫です」

「土日より平日の方が気軽に会いやすいかなと思ったんだけど……」

「？どうしてですか？」

「休みだったら他にどこか行くかもって身構えるかなって。でも平日のこの時間だったら最悪親に怒られるって理由で帰れるじゃん？」

「…………」

　そんなことまで考えてくれていたんだ。
　でも、確かに土日だったら色々悩んでいたかもしれない。

「……何か、大人ですね」

「えー、そう見える〜？嬉しいなぁ」

「見た目子どもっぽいのに」

「何で急に悪口？」

「今更ですけど、私と居て噂になったりしないんですか」

「あー、どうだろ。でも制服だから従兄弟とかって誤魔化せるでしょ」

「危機管理甘くないですか」

「普段はそんなことないんだけど」

「私にはゆるゆるに見える」

「ゆるゆる？」

「ゆるゆる」

「ははっ、そっかぁ」

　そこでちょうどアイスティーが届いた。
　ストローの袋を破く指のたくさんのゴツイ指輪が目に入って
　思わず、じっと見てしまう。

「どうかした？」

「え、あ、ごめんなさい。指輪が珍しいから」

「指輪？そう？」

「周りにそういうの付ける人居なくて」

「まだ高校生だもんね」

　そこで気付く。
　私この人の年齢知らない。
　ていうかほとんど何も知らない。

「あの、今っておいくつなんですか？」

「えっ」

　何故か安井さんは驚いた様子でぱちくりと目を開く。

　え、何かダメだったかな。
　もしかしてもう聞いてた？
　いやでもそんなタイミング無かったはず……。

　えっと、と言葉に迷っていると
　ごめん何でもないと安井さんは
　22歳だと教えてくれた。

「22ってことは……４つ違うんですね」

「じゃあ、今高３？」

「はい」

「ラストJKかぁ」

　自分だってついこの間までそうだっただろうに
　随分と遠い日のことのように言う。

　22。22かぁ。