虹色と雲Ｒ (ページ14)

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「今ドラマの撮影してんだけどさ」

　私が高校を卒業しても、
　私と謙太郎くんは何も変わらなかった。

　いつも通り定期的に会うし、
　いつも通り連絡を取り合う。

　ただ、前と違うのは
　夜にも会うようになったこと。

　高校生連れ出すのはさすがにまずいでしょ、って
　ずっと気を遣ってくれていたらしい。

　たまに謙太郎くんの車でドライブもする。
　今日もそう。
　前より人目を気にしなくて良くなったのは有難い。

　俺以外の男の車に簡単に乗っちゃダメだよ、なんて。
　乗らないよ。

　居酒屋とかは20歳になったらね、って笑うから
　そんな先まで私との未来を考えてるんだって
　嬉しくなったのはナイショ。

「ドラマ？ほんとに芸能人なんだ」

「信じてなかったの？」

「別に芸能人に会いに来てるつもりないから忘れてた」

　何だかんだ、謙太郎くんの芸能活動のあれこれは
　一回も見ていない。
　見るタイミングを逃したっていうのもあるけど
　何だか遠くに感じてしまうような気がして。

　今のこの距離が遠くなるのは、嫌だった。

「……こいつら同じ共演者の奴なんだけどさ」

　運転席から携帯で画像を見せてくる。
　少し身体を寄せて、画面を見ると
　謙太郎くんと男の子がふたり写っていた。

「へえ」

「どう？」

「どう？って？」

「かっこいい？」

　何を急に。
　携帯の画面から謙太郎くんの方へ
　見上げると、
　何とも言えない表情でこちらを見ていた。

　どういう感情なの、それ……。

「うん、かっこいいんじゃないかな。二人とも綺麗な顔してる。何か宝塚の人みたいだね」

「宝塚？！あはははは！」

「？」

「そっか。そっかぁ。ねえ、もし良かったら会う？ていうか会ってみなよ。紹介するからさ」

「ええ？別にいいよ。その人達も何で？ってなると思うし」

　いいからいいから、と謙太郎くんは
　けらけら笑ってる。

　ええ……。

「あんまり男の人得意じゃないんだけど」

「知ってる。でもこいつらAより年下だからさ。こっちが一個下で、こっちが二個下かな。萩ちゃんと顕嵐って言うんだけど」

「会わないって選択肢は？」

「今のところ無いかなぁ」

　お、横暴……。

　でもまあ、きっと悪い人ではないんだろう。
　謙太郎くんがこんな風に言ってくるくらいだし。

　…………ていうか、芸能人なんじゃないの？