隣の君は。

隣 .25 ページ25

紫「 岸くんの隣、
座んなくていいの？ 」


『 え、なんで… 』


紫「 何でって… 」



平野くんは何考えてるか分かんないし、
岸は私達の横で突っ立ったままだし、
気まずいったらこの上ない。




優「 たまには2人で話しなよ！な！
合宿中、百瀬のこと独占しちゃったし？ 」


紫「 は！？ちょ、岸くん！？ 」



独占ってなんだよ… と、
平野くんの小さく呟く声が聞こえた。




またしても気まずい空気の私達に
無言の時間が訪れる。

何か、話さなきゃ、って
考えれば考えるほど分からなくなる。




紫「 ほんとにいいの？
俺の隣で 」


『 うん、平野くんの隣がいい 』



自分でも、結構勇気を出したと思ったのに

平野くんは「 あっそ 」と
素っ気なく答えるだけだった。




紫「 岸くんって分かんないよな 」


『 え、岸？ 』


私は平野くんの方がよっぽど分からない
と言いたいところだけど。

いきなりの岸トークに、一応話を合わせる。




紫「 優しいのか優しくないのか 」


平野くんは、今、何を考えてるの？

その表情からは全然分からない。




『 岸は優しいでしょ 』


紫「 ふーん、
やっぱりAちゃんにはそう見えるんだ 」


『 え、うん？ 』



私にはそう見える、って
岸には裏があるとかそういうこと？

平野くんは岸の何を知ってるの？




紫「 じゃあ俺は？ 」


今日の平野くんはなんか変だ。




いつもみたいに、
ふわふわ笑う君はいない。

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