プリムラ (ページ44)

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当日は誰が衣装を着て給仕をするのかや、買い出し班が買ってきたメイド服や執事服、備品のサイズを直したり、大きなところで言えば看板や呼び込みのためのプラカードの作成など準備することは沢山あるけれどどれも楽しい。

ただメイド服を着る女子は割とすぐに決まったけれど(奈子はノリノリで立候補していた。佐野くんに見せたいらしい) 、執事服を着る残り1人の男子はなかなか決まらず。

「瀬山着なよ」という奈子の鶴の一声で即決定。
瀬山はそれはすこぶる嫌がっていたが、仕方がない。
実は瀬山、岸に負けず劣らず顔がいい。
それに瀬山は奈子に密かに想いを寄せている。
気付いていないのは奈子だけで、私も岸も何となくそれを察している。
だからその点瀬山は私と同類だ。
ほんと、顔も性格もいいのに。不毛。

そんなわけで相変わらず私は目立たないポジションにいる。
当日は飲食物の盛り付け係だ。

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週1だったHRでの文化祭準備は、
放課後毎日行われるようになりいよいよ大詰めだ。

岸は学校に来れば積極的に文化祭の準備に参加していた。
しかし忘れてはいけないのが、岸は致命的に絵が下手だということ。
本人のやる気と実力が見合わず、文化祭実行委員の女の子に"岸くんはAちゃんのアシスタントをしてあげて"と遠回しに"お前はやるな"と釘を刺されていた。

普通ならそこでやる気を失くしてもおかしくないが岸は違う。

「A、俺何すればいい！？」

と目を輝かせ私の後についてくる。
犬かよ。悔しいけど可愛い。

『じゃあプラカード一緒にやろう』

「わかった！」

私が下書きをして岸が色を塗る。
色を塗るだけのはずなのにオリジナリティを出してくる岸。

強力な助っ人岸により、文化祭当日までに癖の強いプラカードが4本出来上がった。

これを持って校内を歩く人のことを思うと少し不憫だ。