プリムラ (ページ37)

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やってしまった。
久々に盛大に寝坊してしまった。
高校に入ってから1番の寝坊だ。
起きたら11時を過ぎていた。

もういっそ休んでしまおうかとも思ったけど、
今日の5限は倫理で小テストがあるのを思い出し
根は真面目な私は急いで身支度を整えた。

家を出た時は急いでいて気がつかなかったが、
電車に乗って窓の外を見ると雲行きが怪しい。

最寄駅に着くと小雨が降り始めていた。
駅から学校までは徒歩15分。
頼む！学校に着くまで本降りにはならないでくれ！と
走り出そうとした瞬間。

「お、A！」

『岸』

「寝坊？珍しいな」

『最悪だよ、起きたら11時！岸は仕事終わり？』

「や、今日は事務所寄ってきただけ！」

『お疲れ～』

「あざっす！」

『岸傘持ってる？』

「持ってない」

『だよね、走るか』

数分後。

『ぎゃーーーー！』

「やっべ！ちょ、雨宿りしてこ！」

私の願いも虚しくあっという間に大粒の雨に変わってしまった。

通学路の途中にある神社に入り、
2人並んで屋根の下に収まる。

『もう、今日ほんとついてない。
寝坊するしびしょびしょになるし』

「折角走ったのにな！あちー！」

私の右側で、空を見上げながら濡れたワイシャツにバタバタと空気を送り込んでいる岸。
いつも綺麗にセットされた髪は雨によって真っ直ぐ地面に向かって伸びていて、
濡れて束になった髪からは水がポタポタと落ちている。

なんだこれ。
直視できない。
岸のくせに。

何これ。