Prisonerworld【小説】 (ページ5)

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誰か【守】【夕凪蝶葉】ページ5

敵の本拠地。
絶好のチャンスなのに縛られて動けない。それどころか今は捕虜。
屈辱でしかない。

どうやって逃げ出そうか？
殺されようがどうせここで生き返る。
意味がない。

ポケットを確認するが中には電源を切った通信機のみ。
確認し忘れたのだろうか。
それとも「敢えて」残したのだろうか。
確かめに行きたいところだが輝くものがなければ私の能力は役に立たない。生憎、部屋にあったであろう鏡も取り外されている。

出来ることなら自力で脱出したい。
他の人に迷惑をかけるわけにはいかないから。それに、敵から情報が漏れない限り私が捕まったことすら皆気付くことが難しい状況ですらある。
どちらにしよ人の力は借りれない。

はぁ……誘いに乗ってやろうじゃない。敵に何かされようが私はめげない。例え何回切りつけられても、殺されようともね。

目の前には見張りの「狗」が一人。
今はよそを向いている。

こちらに聞こえる音を全て切り、
こちらから暗号を入れる。
「help」モールス信号で暗号のように何回か放送を入れて見る。誰か気付いてくれるだろうか。
賢い人なら、勘のいい人なら気付いてくれるだろうか…

出来ることなら助けて欲しい。
でも恐らくここはわからないだろう。
感覚で分かる。この部屋は隠されているんだ。しかも、とても分かりにくいように。

そうなると、今送った信号ですら届くかわからない。どう動けばいいか指導できない。

悩んでいると、敵の誰かがやって来た。どんな苦痛にも絶対動じない。そう思ってたのに。

死んでしまう程の苦痛には耐えることが出来なかった。