12th love ページ12
＊
「えっ…と、かずさんはじめまして！」
はじめましてという挨拶も如何なものか分からないが、熱も相まり混乱した私にはこれが精一杯だった。
「Aちゃんはじめまして〜！急に押しかけてもーて、家の中入れさしてもらってごめんな？高熱なんやんな？？大丈夫？？」
はじめましてで合ってたみたいで、かずさんもなんの疑問もなさそうに返してくれた。
心配そうに私の様子を伺う目。なんだか、年上だとは思えない、大衆を可愛さで魅了するデザインで生み出されたサンリオのキャラクターと似た造形だと思った。
「あの、ここで立ち話もなんなんで、せっかくやし時間あったら上がって行ってください。」
「え！！ええの〜？しんどい時にほんまにごめんな？ほんなら、お邪魔しますー。」
目の前にいる過剰に謝る気遣いの人は、最初に来たメッセージ、『急にごめんなさい。』のイメージのままだった。
きちんと手洗いうがいを済ませてから、ソファーに遠慮がちに腰掛けたかずさんは、
「なんか、ずっと文面で話してたから変な感じやなあ。」
と笑った。
「ですね。なんか、思ってた以上にかっこよくて緊張します。」
正直な感想を言ってみる。普段なら言えなかったかもしれないけど、朦朧としていた。
私の言葉に、えっ！と目を分かりやすく丸くするかずさんは、少し迷ったそぶりを見せた後、
「実はな、俺もAちゃん写真よりもっと可愛いくて緊張するなあって思てたとこ。」
と言い放ち、ふわりと微笑んだ。そして、シルバーのピアスがかかった耳たぶがみるみる赤くなるのを隠すように続ける。
「あ！！！てかほんま遠慮せず寝て寝てー！お布団行って！
みてこれ！Aちゃん好きっていうてたやろー？牛乳プリン買うてきてん！
あと、おじや作れるように材料も買うてたから作ったるわなー！ふら！！布団で寝転んでまってて！」
凄い勢いで捲し立てられ、私を布団に追いやり、「初めて来た家でキッチン立つとか図々しいなあ〜俺〜」とか独り言を言いながらおじやを作り始めてくれた。
ママ…？
ゆみがお父さんなら、かずさんはお母さんやなあと思った。
上京した身ながら、両親が出来た。笑
牛乳プリンが好きなことを覚えててくれたことも、可愛いって言ってくれたことも、そもそも、すぐに駆けつけてくれたことも、全部あったかくて思ってた通りの人で嬉しかった。
初めましての男の人が家にいるのに、私は安心してベッドから後ろ姿を眺めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 623人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりか(プロフ) - とてもキュンキュンしました。すごく続きぐ気になります。 (2022年11月3日 22時) (
レス) @page16 id: 178f4baa14 (このIDを非表示/違反報告)
リム子(プロフ) - 大橋担なのでとてもワクワクドキドキしながら見ております🤍とても面白いです！更新楽しみにしています！ (2022年9月20日 7時) (レス) @page16 id: 328e1440a5 (このIDを非表示/違反報告)
noppi(プロフ) - 更新頑張ってください！！なにわ男子の小説は初めてみましたｗｗ (2022年6月4日 3時) (レス) @page13 id: b90efc2fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ - かつみさん» 嬉しいコメントありがとうございます！更新楽しみにしててください〜(*´◒`*) (2022年6月3日 19時) (レス) @page11 id: 68235cee83 (このIDを非表示/違反報告)
かつみ(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ楽しいです！続きも楽しみにしてます (2022年6月3日 13時) (レス) @page11 id: 7b9e68d6e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽむ | 作成日時：2022年6月2日 18時
