【短編集】僕は君の理想に程遠い (ページ6)

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Who do you choose?〈手塚&リョーガ&謙也〉(★) ページ6

「Aちゃん、ほんまかわええなあ」

「え？好きな人？え…Aちゃん…かな」

自分の気持ちを素直に言えるのは謙也の良いところだ。
けれど、私のどこが好きなんだろう。

「謙也は、私のどこが好きなの？」
「え、ど、どなしたん？急に」
「ちょっと気になっちゃって」
「えー。うーん」
「はっ！まさか…」

私がサッと胸を手で覆うと、彼は慌てて首を横に振った。

「ちゃ、ちゃう、別にそんなとこ見てるわけとちゃう！」
「ふーん」
「信じてやあ」

「へえ、俺はそこも好きだけどな」
「あ、リョーガさん」
「俺は胸もふくめてお前のこと好きだぜ」
「…ありがとうございます」

リョーガさんも私に好きだ好きだといううちの1人だけれど、彼は謙也とは違って“そういうこと”に関して恥ずかしさを全く見せない。というか、多分そんなこと思っていないんだろう。

「A。そこにいたのか」
「手塚くん！どうしたの？」
「大した用事ではないんだが…」
「な、なあ。手塚！手塚はAのどこが好きなん！？」
「は？」

手塚くんがこちらへやってきたかと思うと突然謙也がわけのわからないことを言い出した。

「謙也？どういう意味？」
「え、手塚、Aちゃんのこと好きやろ？」
「……そうだな…俺は…優しいところもだが、一生懸命頑張るところを好ましく思っている」
「は！？」
「頑張りすぎるのが、心配にはなるが頼りにしている」
「え！？」

手塚くんが褒めるのは珍しいがそれはまあいいとして、何やらとんでもない告白をされたような気がする。

「じゃあ…その……」
「なんだ？言いたいことがあるなら言わなければわからないぞ」
「が、外見はどこが好きなん…！？」
「外見？全て…だな」

手塚くんがあまりにもズケズケ言ってくることに驚きを隠せないでいると謙也が言った。

「Aは俺らの中からやったら誰が1番好きなん…？」
「え…？」

これは困った。
こんなに答えにくい質問はない。
「えー、そんなの決められないよぉー」では済まないだろう。

「き、決められないな…アハハ」
「そんなんアカン。誰か１人」

ああ、どうしよう。
こんなことになるなら、あんな話振らなきゃ良かった。
今更後悔してももう遅い。
3人はキラキラとこちらを見つめていて(手塚くんにこの表現は合わなかった。失敗)もう話を丸く収めるのは無理そうだ。

ため息をついて3人を見つめると、私は意を決して口を開いた。

Who do you choose?(あなたは誰を選びますか?)