菊丸英二は一途に恋する(2/2) ページ20
こんなやついたな〜と、
一人で盛り上がっていた。
「あ、不二だ…」
「これは、クラスの写真…」
「これは、テニス部…」
「あ、俺だ…」
写真がテレビの中で流れていく。
「え、動画?」
突然、音楽が止み、動画が始まる。
「え……A…?」
そこに映っていたのは、紛れもなく、Aだった。
『えーっと、菊丸くん。』
彼女が、喋り出す。別れてから、Aは、俺のことを菊丸くんと呼ぶようになった。俺は彼女のこの呼び方が大嫌いだった。
『えっと、あ、これは、卒業1週間前に不二くんに撮ってもらったものです。この動画を菊丸くんが見るかどうかも分かりませんが…。菊丸くんのことだから、多分…5年は見ないと思うなー。どう?当たった?』
当たってるよ。不二に言われなかったら、一生見なかったかも。
『もし、5年も経っていたら、あなたは私のことを忘れているかもね。覚えてますか?』
忘れられるわけないじゃんか。
『元カノのAです。元カノがこんな風なことをするのは、変かもしれません。でも、聞いてほしいんです。』
『あなたと別れたのは、あなたのことを嫌いになったからでは、ありません。あなたのことは寧ろ、大好きです。…ちょっと恥ずかしいな…ふふふ。』
『実は、私、大学、海外を考えてて。ずっと言えなくて、ごめん。』
「え…」
そんなこと知らなかった。
『英二と離れるのは辛いけど、自分の夢を失いたくなかった。初めはね、英二と別れるなんて考えてもなかったの。でも、英二が進路の話をしたり、「これからもずっと一緒」って言ってくれたりするのを聞いてるのが辛くて。こんな形になって、ごめんなさい。』
途中から、“英二”と彼女が呼んでいるのに気付く。
『私は、英二が好き。例え、英二が私を好きじゃなくても。だから、私は、英二が私に連絡をくれる日を待ってる。勝手でごめん。好きだよ、英二。』
彼女が画面から消える。しばらくして、高校の頃の不二が映った。
『あ、英二?僕だよ、不二周助。忘れてないよね。これは、英二用に編集したものなんだ。みんなのより、ちょっと長くなってる。僕が、英二のDVDをこれと入れ替えたんだ。だから、みんなのには、Aちゃんの話はないから。安心してね。じゃ。』
俺は、携帯を手にとって、履歴の一番下にある、今まで消せずにいた、彼女の番号にかけた。
「あ、えーっと、A?菊丸英二だけど…」
桃。おチビ。
俺、そろそろ結婚するかも。
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あぷりこっと☆(プロフ) - ありがとうございます!続編の方も更新頑張りますね…! (2019年10月24日 18時) (レス) id: 280df3197c (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - こんにちは!文章がとても上手くて、流れも良くて、楽しいお話でした(^^)ありがとうございます! (2019年10月21日 17時) (レス) id: 9eccfaa3b5 (このIDを非表示/違反報告)
あぷりこっと☆ - かえでさん» お久しぶりです!続編を遂に出すことができて本当に嬉しいです。はじめてコメント、リクエストをしてくださったかえでさんのお陰でここまで来れました。本当に感謝しています!これからも未熟なあぷりこっと☆をよろしくお願いします…! (2019年9月13日 21時) (レス) id: 280df3197c (このIDを非表示/違反報告)
かえで - あぷりこっと☆さん» お久しぶりです!続編出るんですね!待ってました!これからも頑張ってください!! (2019年9月12日 17時) (レス) id: ac6f89e4bc (このIDを非表示/違反報告)
あぷりこっと☆ - みかんですねんさん» 駄作ですみません汗 更新は遅いですがこれからもゆっくり頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年9月12日 17時) (レス) id: 280df3197c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぷりこっと☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/apricotstar/
作成日時:2019年5月23日 1時