恋人はママちゃん２【白】 (ページ6)

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ー【RAUL side】ページ6

今日の仕事は定期的にある某雑誌の取材だったから、いつも以上に気合を入れて撮影していたら思っていた以上に早く済んで、スタッフさんに凄いと褒められた。

「お疲れ様でした」

スタッフさんに挨拶をしてからスタジオの片隅で佐久間くんに終わったと連絡して急いで楽屋に戻った。

メイク落としもそこそこに荷物を纏めていたら佐久間くんから地下の駐車場に居ると返信が来たから、マネージャーに佐久間くんと出かけるからと一声かけて楽屋を飛び出す。

エレベーターを待つ時間も焦れて階段で降りると佐久間くんがスマホを見ながら車で待ってくれていた。

「お待たせ、行こう！」

助手席に乗り込んでシートベルトをしてそう言えば佐久間くんがびっくりした顔をした。

「早っ!!てか、凄い汗だぞ？」

走って来たから汗だくなのは分かってたけど、それより早く捜しに行きたいんだ。

けれど佐久間くんはエンジンをかけてくれない。

「闇雲に捜したって見つからないからさ。まずはラウールが落ち着いて、ママちゃんの行きそうな場所に心当たりないか考えろよ」

そう言いながらペットボトルの水を渡してくれた。

一気に半分位飲んでから鞄からタオルを取り出して汗を拭く。

それだけで結構頭が冷えたかも。

「Aさんが行きそうな場所…」

目を閉じて冷静に考える。

事務所に挨拶や趣味のお店以外の行きそうな場所。

でも普段からほぼ一緒に出掛けたりした事が無い俺には、唯一あの場所しか浮かばなかった。

「高台…」

２人だけの秘密と約束したあの高台。

「前にデートに出掛けた場所？」

俺が頷くと佐久間くんはニッコリ笑ってエンジンを掛けた。

「よ〜し、安全に飛ばすかんな！道案内は任せた！」

「いや、飛ばさないでいいからスピード守って」

にゃははと笑いながら佐久間くんは車を発進させた。

佐久間くんの安全運転と俺の記憶の正確さからそこまで時間の掛からないうちに高台に備え付けられた小さな駐車場に辿り着ついた。

「Aさんの車だ…」

そこに1台だけポツンと停まっていた車はまちがい無くAさんの車で。

俺は停車と同時にシートベルトを外して車から飛び出た。

「ラウール、皆には俺が連絡するから先に行け」

「うん」

「今度は逃がすなよ」

何だか恋愛映画の協力者みたいな台詞を言う佐久間くんに俺は大きく頷いて階段を駆け上がった。