恋人はママちゃん２【白】 (ページ47)

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夏前の思い出【貴女 side】ページ47

夏が近付いて来たある日の事。

仕事を終わらせた私は皆が集まっているリビングに声を掛けて自室に戻ろうとしたんだけど。

ラウールが皆と寛いでいて、その輪に誘われた。

「何してたの？」

珍しくソファとかでは無く絨毯の上に円陣を組むみたいに座っている。

「今度の雑誌のインタビューの打ち合わせ的な？」

さっくんの言葉に仕事の話なら交ざる訳にはいかないからと立ち去ろうとしたら。

「そんな機密な事じゃないから大丈夫」

「Aさん、こっち」

と照さんが小さく笑いながら言うから、手招きするラウールの隣に腰を降ろした。

「どんなテーマなの？」

「夏と言えば、って定番のやつやね」

私が尋ねれば康二くんが直ぐに返事をしてくれた。

どうやら雑談的に話しながら出てきた答えを阿部ちゃんがノートに纏めているみたい。

私が交ざってからも一つ答えらしき物が出ればそれについての思い出話や関係する話が皆の口から色々出てくる。

それを聞きながら楽しんでいたら、急にふっかさんに話を振られた。

「ママちゃんは夏と言ったら何？」

「そうだなぁ…やっぱりプールかな？」

少し考えて定番過ぎるかなとは思うけど大好きなプールを選んだ。

「海じゃないんだ？」

舘さんが聞いてきたからそちらを向いて答える。

「海も潜ったりすると楽しいから好きだけど、でも泳ぐならプールの方が好き」

案外波が泳ぐには邪魔なんだよね、沖に出れば平気だけど。

そんな私の答えに意外な人が反応した。

「Aさん、泳ぐのが好きなんだ？俺と一緒だね」

「めめくんも泳ぐのが好きなんだ？」

「水泳特技だから」

「私も、水泳が１番得意」

水泳得意とか、何だか仲間意識出来ちゃうな。

「Aさん」

そんな感じでめめくんと向き合って話してたら、苦笑いしている阿部ちゃんに呼ばれて隣を指された。

目線をそちらに向ければラウールがジト目で私を見ていた。

「ラウールは泳ぐの好き？」

「普通」

問い掛けてみるけど答え方が端的で…これは完全拗ねモード入ってるね。

仕方ないなぁ…。

私はラウールに向き合うと真っ直ぐにその目を見つめた。