７話💐 ページ8
今日は動画撮影の日。
偶然か否か、ラウは居ないから比較的穏やかな心持ちで撮影に挑める。
好きな相手が居なくて安心するってのも皮肉めいてるけどな。
「ど〜も⤴Snow Manでぇ〜す」
安定？の阿部ちゃんの裏声挨拶から始まった今日の動画撮影は阿部ちゃんプレゼンツの花の名前を覚えようって企画だった。
花吐き病患ってる俺が花関係の企画ってどうなの、わら。
まあ、誰も知らないからこそ記憶系の動画に呼ばれるんだけどね。
ちなみにメンバーは阿部ちゃんと佐久間と舘さんと康二と俺。
今回は阿部ちゃんがＭＣだから俺は企画に集中出来る。
まあ、ボケたがり３人がいるから暇はなさそうだけど。
「では、まずは切り花で有名な花をいくつか覚えて貰います」
阿部ちゃんの説明を聞けば、要は決められた時間で花の名前を覚えて、後から阿部ちゃんが選んだ花の名前を当てると言う短時間記憶の勝負。
要は短時間記憶の勝負みたい。
やる気満々な舘さんと康二には悪いけど短時間記憶なら負ける気がしない。
「よっしゃ、俺が花王だ！」
「花王は俺に似合う称号だよね」
「マッサマンには勝つ！」
「それ言わんでや〜」
俺の言葉に康二が情けない声を上げて、皆の笑いを誘う。
そんな感じで雰囲気も良く順調に撮影が進んで行っていたから、何も起きないだろうと安心しきっていた時だった。
「次のお題は鉢植え向きの花です」
「あ…」
スタッフが運んできた鉢植えの中に見慣れた花を見つけてしまった。
今や毎日のように見るあの赤い花だ。
「ふっかさん？」
俺の雰囲気の変化を感じたのか康二が不思議そうに声をかけてきた。
「あ、いや、実家で見た花があったからさ〜懐かしいな〜って」
「どれどれ？」
「これ」
話に入ってきた佐久間に聞かれて、俺は目の前に置かれた赤い花の鉢植えを指す。
「それはシクラメンだね。ちなみに花言葉は色で変わって、それは赤だから嫉妬や愛情」
「嫉妬…」
阿部ちゃんの説明が胸にストンと落ち込んだ。
ああ、だからラウとめめを見た時に吐くのはこの赤いシクラメンだったんだ。
この燃えるような形と赤い色、正に嫉妬の炎に相応しい。
俺を醜く焦がす嫉妬の炎。
「…」
ただただシクラメンを見つめる俺を舘さんがじっと見ていた事に、その時の俺は気付いていなかった。
続く (更新停止中)
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