篝火花 (ページ5)

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４話💐 ページ5

「ゴホッゴホ…ッ、カハッ」

個室に入ったと同時に咳と共に何かが喉から出てきた。

「…赤い花？」

間に合わずに手で受けたソレは、間違いなく一輪の赤い花だった。

「え？俺、花吐いたの？」

理由が分からなくてパニックに陥りかけた時、ドアを激しくノックされた。

「ふっか、大丈夫？」

聞き慣れた照の声に意識を取り戻し、俺は一先トイレットペーパーで花を包みポケットにツッコむとトイレを流してからドアを開けた。

「いきなり楽屋飛び出したけど、どうした？」

「あ〜…ごめん、実は二日酔いでさ…」

咄嗟に出たには秀逸な言い訳だったと思う。

顔色が悪いのもトイレに駆け込んだのもどちらも誤魔化せるから。

「何だよ、心配しただろ」

「ごめん、ついつい飲み過ぎちゃってさ。でも今吐いてスッキリしたから大丈夫」

実際花を吐いたら喉の違和感は和らいでいたしね。

俺の言い訳に納得したのか照は仕方ないなって顔をしながら俺の頭をポンと叩いた。

「皆びっくりしてたからちゃんと謝れよ」

「は〜い」

トイレを出ていく照の後を手洗いしてから追いながら、俺は花が入っているポケットにそっと触れた。