２話💐 ページ3
「あ〜あ…飴舐めながら今日は早く帰ったら？」
「ん、そうするわ」
仕事自体はもう終わっていたし、俺は佐久間のアドバイスに従ってさっさと帰る事にした。
…この場に居たくなかったのもあるしね。
「お疲れ〜」
『お疲れ様〜』
挨拶をして楽屋を後にして歩き出す。
マネージャーに声をかけて家まで送って貰う。
「ただいま」
誰も居ない部屋に声を掛けて、手洗い・うがいをしてからリビングへと向かいソファに座る。
「…」
徐にパンツのポケットからさっきラウールから貰った飴を取り出して見つめる。
離れて座ってたのに俺が喉に違和感を感じてるのに気付いてわざわざくれたのが嬉しい。
こんな些細な事で俺は簡単に浮かれていた。
そう、俺は密かにラウールに恋をしている。
いつからなんて思い出せないけど気付いたら惹かれていて。
でも同じ男で同じグループ、そして11も年下のラウールに惹かれた所でどうにかなる訳でも無く。
ただその想いを胸に秘めて日々を過ごしていた。
同じグループで活動出来るだけで幸せ。
そう思っていたけど、ある日気付いてしまった。
多分、ラウールはめめが好きなんだと言う事に。
前から距離が近いとは思っていたけど、ここ最近は特に近くて楽屋でも２人でくっついている事が多くなった。
前は俺や翔太や康二とかに絡む事も多かったけど、近頃はそれも減っていた。
「寂しいな…」
いい大人が何言ってるんだって感じだけどさ、今まで『ママ』と慕ってくれてたラウールが『めめ』になってしまったのが寂しいんだよ。
親離れと言われたらおしまいだけどさ、それでも心のどこかでラウールはずっと慕ってくれるんだろうなって期待してた。
それが例え親みたいな尊敬の念的な感情だったとしても。
でもそれすらも今は全てめめのものな気がしてしまう。
「ゴホッ、コホッ」
また急に出てきた咳に、ちょっと勿体ないと思いつつも包みを開けて飴を口に放り込む。
「苦っ…」
貰ったのは甘いタイプののど飴の筈なのに、その時は何故か苦く感じた。
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