恋人はママちゃん【白】 (ページ30)

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「な、好きな相手に普段と違う呼ばれ方すると胸がドキドキすんねん」

「え…？」

康二くんの言葉がストンと心の中に落ち着いた。

「お前は気付いてないだろうけどさ、俺等がママちゃんと話てるとすっげー睨んでくんだよ」

苦笑いな佐久間くんの言葉に完全に無自覚で睨んでたんだと気付かされた。

そっか、俺皆にヤキモチ妬いてたんだ。

つまりそれは…。

「俺、ママちゃんが好きなんだ」

思わず出た呟きに２人が何でか嬉しそうに笑った。

いざ自覚すると今までの行動全てに理由が見つかった。

隣に座って欲しいのも、泣いた時に抱き締めたのも、名前を呼べなくなるのが残念だったのも、誰かがママちゃんと２人きりで居るのが嫌なのも、ふっかさんが大好きって言われてモヤモヤしたのも。

全部ママちゃん…Aさんが好きだからだって。

自覚したら途端にママちゃん呼びをしたくなくなった、だってママとじゃ恋愛出来ないもんね。

ちらりとAさんの方を見れば、ぬいぐるみをぎゅっと抱き締めながら嬉しそうに笑ってた。

「フフ…マイト可愛い」

あ〜もう、自分じゃないって分かってるのに自分が言われたみたいでムズムズする。

「抱きまくらにしちゃおうかな」

「いいんじゃない？毎晩マイトをぎゅってしたげてよ」

ふっかさんが楽しそうに笑いながらAさんに薦めてる。

絶対俺が聞いてるの分かってて言ってるよね？

ふっかさんの言葉に佐久間くんと康二くんはニヤニヤ笑ってるし、色々恥ずかしくて顔が赤くなるのを感じた。

そんな俺に気付いたのかAさんが心配そうに問い掛けてきた。

「ラウール、大丈夫？風邪？」

「ちっ、違うよ？」

慌てて首を振って否定すれば一応は納得してくれたみたい。

「それならいいけど、体調悪かったら言ってね？」

素直に頷けばAさんは微笑んでからまたぬいぐるみに顔を埋めた。

いつかそれが「マイト」じゃなくて「真都」になる日が来るのかな…。

そんな希望を込めながら俺はAさんを見つめたのだった。