恋人はママちゃん【白】 (ページ18)

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ママちゃんとは【RAUL side】ページ18

歓迎会から数日。

呼び方を変えた事で俺達とAさんとの親密度はぐんと上がった気がする。

まだまだ言葉使いは固い時もあるけど、それでも話しているとタメ口になったりして仲良くなったなって感じで嬉しい。

今日は午後から休みだったから部屋で課題をしてたんだけど、ちょっと喉が渇いたから休憩しようっと。

飲み物を貰う為にキッチンに向うと、同じく午後休みだった康二くんがキッチンを覗いていた。

「康二くん、ど…」

「しっ、Aさんが電話中やねん」

小声でそう言われたから取り敢えず黙って康二くんの上からキッチンを覗く。

見れば食卓にスマホを置いてテレビ電話しているみたい。

確かにこれじゃ中に入るのは無理だね。

小声で聞けば康二くんはおやつを探しに来たら電話中だったから様子見てたんだって。

「相手誰なんだろう…」

素朴な疑問に呟けば、康二くんが何だか複雑そうな表情をした。

するとキッチンの中からAさんの楽しそうな声が聞こえてきた。

「たっくんたら相変わらず元気だね」

たっ『くん』!?

え、相手男の人なの？もしかして彼氏さん…とか？

その時何故だか胸がモヤモヤする気分になった。

「うん、私も大好きよ。また会いたいな」

「え!?」

Aさんの告白みたいな言葉に思わず大きめな声が出て急いで手で口を塞ぎながら身を隠す。

康二くんもびっくりしてシーッて指を口に当ててる。

見てたの気付かれたかな…。

そーっと２人でキッチンを覗けば、案の定Aさんが驚いた顔でこちらを見ていた。

慌てて顔を引っ込めてどうするか康二くんと相談していたら。

「ごめんね、仕事中だから。またね、姫ちゃんとたっくん」

そんな声が聞こえてつい反応しちゃった。

「姫ちゃんと」

「たっくん？」

康二くんと顔を見合わせてオウム返ししてたら、入口からAさんが顔を覗かせた。

「立ち聞きはマナー違反だよ？」

『ごめんなさい』

２人で謝るとAさんは小さく笑ってから頭を下げた。

「私こそごめんなさい、仕事中なのに電話してて」

「Aさんの仕事は時間区分関係ないから気にせんでもええよ」

考えてみたらシェアハウスの家政婦さんて結構ブラックだよね…。

「ありがとうございます、何か用事だったんですよね」

そんな事を考えていたらAさんと康二くんがキッチンに入って行ったから俺も慌てて追いかける。