名前はなぁに？【深澤 side】 ページ4
出会ったあの日から、俺はゲーセンに寄った帰り道に花屋にも寄るようにした。
どうやら店員さんはあの人だけみたいで行けば必ず対応してくれる。
「今晩は」
「いらっしゃいませ」
花を選ぶ振りをしながら少しずつ世間話をして、ゆっくりだけど仲良くなった。
俺にしては珍しい行動だと我ながら思うけど、何だろうね。
いきなり距離を詰めて嫌われたくないって思っちゃったんだよね。
この俺がよ？
まあ、そんなこんなで顔見知りから常連位に上がった時に勇気出して聞いてみた。
「あの、店員さんてお名前何て言うんですか？」
「え？」
「あ、いや、店員さんて呼び辛いと言うか何と言うか…」
しどろもどろになる俺に店員さんはクスリと笑った。
「私は村上と言います」
「村上、さん」
偶然にもうちの最年少…ラウールと同じ名字とか凄くない？
いや、確かに珍しい名字じゃないけどさ。
何か運命感じちゃう!!…けど。
「そっか…村上さんか…」
思わず出た呟きに村上さんが反応する。
「何かありました？」
「あ、いや、同僚に村上って子がいてちょっと呼び難いなって」
って、何俺素直に答えてんの。
そんな事村上さんには関係ないのに。
「あ、じゃあ下の名前はAと言うのでそちらで呼んでください。」
「へ？いいんですか？」
「はい、ここにも書いてますし」
そう言って村上さん、改めAさんは自分の胸元を指した。
見ればそこには手作り風の名札があり、ちゃんと『村上A』と書いてあった。
名札あんじゃん、何で気付かなかったのよ。
そしたら名前聞くとかしなくても良かったのに…あ、でも呼ぶ許可貰えたから結果的には良かったのか？
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作者名：氷那 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HAK/
作成日時：2023年1月11日 2時
