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「うん、あの日以来会ってないの」
Aちゃんは少し寂しげに呟いた。
「私、何かしちゃったのかな？」
不安そうな眼差しで見上げてくるAちゃんに俺は直ぐには答えられずにいた。
だって、多分俺がふっかさんにAちゃんとの関係を聞いたせい。
あの質問で何かを悟ったふっかさんが、Aちゃんと距離を置こうとしてるんじゃないかと思った。
「Aちゃんは何もしてないよ」
今にも泣きそうな表情のAちゃんの頭を優しく撫でる。
「多分ライブとかで疲れちゃって外出が面倒になってるとかじゃないかな、元々インドア派だし」
フォローしながら言えば、Aちゃんはゆっくりと口を開いた。
「今日ね、渡辺さんがお店に来たの」
「え？しょっぴーが？」
驚く俺にAちゃんは頷きながら言葉を続けた。
「深澤さんは気遣いの鬼だから、他人の気持ちを優先して自分を後回しにするって教えてくれたの」
うん、それがふっかさんの優しさだから。
そしてそれを伝えてくれる人が居るって事はふっかさんの人柄の良さ故なんだろうな。
「深澤さんって愛されてるんだね」
普段弄られキャラだけどそれも慕われているからだし。
そう思った俺はAちゃんの言葉に素直に同意する。
「皆、ふっかさんが大好きだよ」
「真都も？」
確認するように尋ねてくるAちゃんに俺は優しく微笑みかける。
「うん、大事なママだからね」
俺の言葉に会話を思い出したのかAちゃんが小さく吹き出す。
「でもね」
「ん？」
「俺はふっかさんがお兄ちゃんでもいいなって思うよ」
その言葉にAちゃんが息を飲む。
考えてみたら大事な人と大事な人が仲良くなるって素敵な事なんだと思ったんだよね、まあヤキモチは妬くけど。
それに何よりAちゃんには幸せになって欲しいし、きっとふっかさんならそれが出来ると思うんだよね。
「真都、ありがとう」
俺の気持ちが伝わったのか、Aちゃんは漸くフワリといつもの笑顔を浮かべた。
「伝言、頼んでもいい？」
「うん」
そしてAちゃんはふっかさんへの伝言を口にした。
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作者名：氷那 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HAK/
作成日時：2023年1月11日 2時
