白雪姫 snm1 (ページ6)

今日:257 hit、昨日:423 hit、合計:275,443 hit

決断ページ6

高校進学前に来春クールの朝ドラヒロイン
東京制作局のオーディションを受けることになった

決まれば高１の終わりから撮影が渋谷で行われる

もちろん通うことも難しいし、転校は余儀なくされる

今通っている学校は小中高大とついている
付属校で進学校でもある

滝沢さんが訪ねてきて
「このオーディション受けるなら
高校進学を機に上京して欲しい」と言われた

もちろん、母は猛反対
しかし意外にも父と祖母は賛成してくれた

今の学校に不満はないし、なんなら気に入ってるけれど、エンターテイメントに携われる幸せを感じていたし、なによりこれがそう多くは回ってこないチャンスだということも分かっていた

「お母さん、銭湯いかへん？」

私と母は近所のお風呂屋さんに昔からよく
出かけた

怒られた日や嬉しいことがあった日
いろんなシーンで母と銭湯へ来た

母も私が何を言いたいか分かっているようで

「久しぶりに行こうか
Aがテレビに出るようなってからなかなか行かれへんかったしなぁ」

そう言って二人で銭湯へ向かった

のんびりお風呂につかる

ぬる湯につかっていたら後から母も入ってきた

「あんたは相変わらずぬる湯好きやなぁ」

「熱いお湯長いこと入ってたら上気せるやん」

「あんたは小さい時から好きなもんが変わらん子やもんなぁ」

「うん、そうやなぁ…そうかもしれんな」

「一人で寂しいって泣いても知らんで」

「うん、そん時は会いに来てな」

「そんなん、すぐに行ける距離ちゃうんやから、根を上げるなら辞めとき」

「うん…わかってる」

「そうか…ほなお母さんは朝ドラ毎日みるわ」

「まだ決まるかわからへんやん」

「何の為にいくの、行くんやったら国民的女優になりなさい、応援するから」

「うん…ありがとう…ありがとう」

それから三ヶ月後
私はまた東京の寮にいる秀子さんに迎えられて新生活をスタートさせた