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「ふーまくん、ふーまくんどこ?さくらのママもどこ〜?」
保護者達の独特な香水の香りと凄い量の人混みで酔いそうになりながら、私は風磨くんを探した。
かき分けてもかき分けても布地が手に触れるだけで、
風磨くんの差し出す手は目の前に無くて、
もう私は一生ママに会えないんじゃないか、
この人混みに揉まれて人生終わっちゃうんじゃないか、
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「さくら!!!!!」
反対側から私と同じように必死に人混みを掻き分けて来てくれる君。
ピンチの時にはいつも駆けつけてくれる王子様みたい。
「ふーまくん!」
差し出されたちっさな手のひらをいつも通りぎゅっと握り返した。
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・
「んもう、2人ともすんごい可愛い!!」
「ねー!!やばいよねー!!!ほらほら風磨!!こっち向いて!さくらちゃんも!」
卒園式と書かれた看板を挟んで、お互いの親に写真を撮られまくる私達。
ひとしきり終わったのか、ママ達がカメラの画像を確認してる。
「ねえねえ。」
「ん?」
「ふーまくん、これからもさくらの側に居てくれる?」
「は?何急に。」
「だって、ふーまくん。さくらの王子様みたいなんだもん。さくら、好きよ。王子様。」
そう言うと、ボッと効果音がつきそうなくらい顔を真っ赤にした風磨くん。
「お前さぁ……」
前髪をグシャグシャっとして、風磨くんは口元を手の甲で隠した。
そういやなんで時々口元隠すんだろ。
「それ本気?」
「うん!本気だよ!!ふーまくん、王子様になって私のそばに居てくれる?」
「んー。」
言葉を濁す風磨くん。
しばらくして、、、
「…じゃあ、俺から離れられなくなるけどいいの?」
と言った。
私はもちろん、
「うん!!さくらから離れないで!!」
って答えた。
「…わかった。側に居てあげる。」
「ほんと?!わ!!嬉しい〜!ふーまくん大好き!!」
無邪気だった私は、その瞬間風磨くんのとあるスイッチを押してしまっていたことに気が付けなかったの。
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作者名:麗櫻姫 | 作成日時:2024年1月29日 0時