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ピンポーーーーン。
「あ、来てくれたみたいね。毎朝同じ時間に起きれてすごいわぁ〜」
私の制服のボタンを閉める手を止めて、パタパタと玄関に駆け寄って行くママ。
誰かと楽しそうに喋ってる。
「ふんっ。さくら、1人でも制服着れるもん。」
この時間に鳴らす相手といえば……
「おい、さくら。早く行くぞ。遅い。」
「あっ……ふーまくん…」
リビングのドアを開けたのは、私と同じ幼稚園の制服を着た男の子。
ボタンが閉まってないダランとした制服姿の私を見て、大きくため息をついた。
「はぁ。なんで制服着れないんだよ。4月から小学生になるんだろーがよ。」
「あぅ……練習はしてるもん…」
「ボタン閉める練習して何になるんだ?!あ?!」
「うるさいよぅ……」
朝から大きな声で怒るこの子。
生まれた時から幼馴染、菊池風磨くんです。
お母さん同士も中学時代からの大親友らしく、めちゃくちゃ仲良いのです。
ノロい私を気にして毎朝迎えに来てくれるの。
まあ、いつも今日みたいに怒ってばかりなんだけど。
でもね……
「あぁ、もう!貸せ!!俺がやってやる!」
「え、いいの?」
「だってお前とろいもん。これ以上時間かかったら今度は行く道でコケるだろ?お前ドジだから。」
「んふふ。ふーまくん、優しいね♪」
幼稚園でも思ったことをズバズバ言う性格で恐れられてるふーまくん。
本当は凄く面倒見が良くて優しいの。
ほら、今だって私がコケないように、、、
「よし、準備出来たぞ。……ん。」
口元を左手で隠しながらも右手で私の前に手を差し出してくれる。
「ありがとう!ふーまくん!」
私は絶対この手を離さないよ。
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「おまっ、強く握りすぎ!!いてぇよ!」
「そんなに強く握ってないもん!」
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作者名:麗櫻姫 | 作成日時:2024年1月29日 0時