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久しぶりに二人で歩く帰り道。
どこか気まずくてお互い無言になってしまう。
「……あの、さ。」
先に口を開いたのは風磨くんだった。
「何?」
「なんで……急に俺の事避けたの?」
立ち止まって真剣な顔で私を見つめる風磨くん。
綺麗な目に吸い込まれそうで、私は咄嗟に目を逸らした。
「それは……」
「さくら。目、逸らさないで。ちゃんと教えてよ。」
恐る恐る風磨くんを見上げると、寂しそうな悲しい目をしていた。
何でそんなに悲しい目をするの?
私だって辛かったのに。
「そんなの……風磨くんが私の事幼馴染なんかじゃないって……言ったからじゃない。」
本当は言いたいこともっとある。
私って特別じゃなかったの?
頭ポンポンとか何?なんでしたの?
幼稚園の時、キスしたのはただの気まぐれ?
子供っぽい疑問だらけかもだけど、私はその度に風磨くんへの好きが積もっていったから。
でも、それを言ってしまったら本当にこの関係が崩れてしまいそうで。
せめて、風磨くんのそばに居たい。
ただの幼馴染としてだけでも。
あなたのそばにいたいの。
「そんな訳ないじゃん。さくらは、大切な……たった1人の幼馴染だよ。俺にとって特別な存在に決まってるだろ?。」
そう言って風磨くんはふにゃっと笑った。
ほらね?貴方の何気ない言葉で、貴方の事を忘れようとした1年間の記憶なんて直ぐに飛んでいっちゃう。
私の大好きな優しくて可愛い笑顔。
それをずっと見ていたい。
そのためなら私は自分の想いなんて押し殺すよ。
絶対にね。
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作者名:麗櫻姫 | 作成日時:2024年1月29日 0時