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「さくらー、あんた今日から新学期でしょ〜?」
「だいじょーぶ!!忘れ物してないよ!!」
「はぁ。もう、来年からは中学生なんだからね。しっかりしなさい。」
「何回も言われなくても分かってるよ!!もう!!じゃあ行ってきます!」
「はいはい、行ってらっしゃい。」
あの日から私は風磨くんと全く話さなくなった。
あの時、次の日には美瑠に心配そうな顔をされたし、風磨くんからの視線が痛かった。
そりゃ急に先に学校に行ったりしたからね。
けど何も突っ込んでない。
いつも通り楽しそうに友達と笑いあってる風磨くんに少し怒りを覚えた。
私たちはやっぱりそういうだけの間柄なんだ。
幼馴染なんて期間に名前を付けただけ。
追いかけてもくれない彼を私はなんでずっと好きだったんだろう。
私は、自分の想いに無理やり蓋をした。
二度と勘違いなんてしないように。
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「さくら、菊池と同クラだよ。」
「へ?」
「……大丈夫?」
「あ、うん!大丈夫だよ!!平気平気ー!もう忘れたもん。」
何だか納得していないような顔をする美瑠の前で明るく振る舞う。
幸か不幸か、5年生では同じクラスならなかった私と風磨くん。
話してなくても学年で人気者の風磨くんの噂はすぐに耳に入ってくるもんで……誰々が風磨くんに告白してたとかはよく聞いた。
けど私はそれを何とも思わないくらいになった。
だから……きっと大丈夫。
去年で風磨くんのことなんて忘れちゃったんだから。
大丈夫。大丈夫だよ。
騒がしい教室の扉をガラッと開けると一瞬教室が静かになり、こちらを見た風磨くんと目が合った。
1年ぶりに見た風磨くんは、凄くカッコよくなってて…周りがキラキラして見えた。。
「ッッ…………」
「さくら、大丈夫?」
「大丈夫、早く席着こ。」
私の2個前に座る風磨くん。
身長がだいぶ伸びたみたいでサラサラの髪が風で靡いてるのが後ろの席からでも見えた。
やっぱ、無理。
たった1年間で忘れようなんて、私が馬鹿だった。
顔見たら思い出すに決まってるでしょうが。
昔から大好きだった風磨くんなんだもん。
それにさ?
「さくら、一緒に帰ろ。」
緊張した様子で私にそんなこと言いに来るなんてズルいよ。
「……うん。もちろん。いいよ。」
断らないに決まってるでしょ?
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作者名:麗櫻姫 | 作成日時:2024年1月29日 0時