Princess. (ページ15)

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「さくら……帰ろっか。」

教室に戻ると待っていた風磨くん。

さっきのこともあってお互いぎこちない。

「うん。」

その日、初めて手を繋がずに帰った。

「……じゃあ。またな。」

「うん。バイバイ。」

もう頭も撫でてくれない。

風磨くんは、私が家に入るまで俯いた様子で立ってた。

ドアを閉め、耳を澄ませると何かが駆けていく音がした。

「……風磨くんのバカ。」

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「ただいま。」

「おかえりなさい。バレンタイン、風磨くん喜んでくれた？」

「あ……」

「ん？」

「え、うん、そう！！すっごい喜んでくれたよ！！」

「あら、良かったわね〜！！」

「うん、またご飯の時呼んでね。」

下を向いていないと涙が溢れそう。

バタバタと階段を駆け上がり、自分の部屋のドアを勢いよく閉める。

ガサッ

持っていた手提げ袋から落ちた、ラッピングされたハートのガトーショコラ。

「ふぇっ……ふっ……ふぅ……ふぇ…」

涙が止まらない。

初めてのこの気持ち。

嘘でも、幼馴染であることは否定しないで欲しかった。

もう少し大人なら、思い込みすぎちゃダメだ、しっかり話聞かなきゃって思えたのかもしれない。

けど幼い私にはそんなこと分からなくて。

起こったことが全て。

そんな子供の世界で、私は深く傷ついた。