・ ページ13
「風磨くんいるー？」
「おー。何？」
「あのね、これチョコ！良かったら食べて♡」
「さんきゅ。すげ、これ手作り？ありがとな！」
「もう〜そんな褒めないで？大したことないから〜」
キャッキャッしてる風磨くんと見知らぬ女の子。
ドアの近くの風磨くんの机には大量の紙袋がある。
中身はもちろんチョコレート。
今の子で一体何人目だ？ってくらい、今日風磨くんを呼ぶ女の子の声が止まらない。
「さくら、、、拗ねないの。」
突っ伏したままの私を心配してくれる美瑠。
「はぁ。なんでかなぁ。」
「恋に理由なんてないから仕方ないよ。さくらが菊池を選んじゃったんだから。」
「分かってる……分かってるもんそんなこと。」
・
・
結局、風磨くんへのバレンタイン攻撃は放課後まで続いた。
「さくら。」
「？なぁに？」
「俺、小鳥遊に呼び出されてるからちょっと待ってて。」
「あ……うん。わかった。」
そう言って私の机にランドセルを置いて教室を出ていった風磨くん。
心臓がドクドクと胸を打つ。
これ、、、、絶対告白だよね。
どうしよう、風磨くんと小鳥遊さんが両思いにったりしたら。
やだ、やだよ。取られたくない。
私の方が風磨くんのこと知ってる。
私の方が風磨くんのこと大好きだもん。
考えるより先に体が動いてた。
風磨くん……風磨くん……風磨くん、どこ？
どこにいるの？
校内を走り回って息を切らしていると、体育館裏から微かに聞こえてきた誰かの話し声。
こっそり覗くと、チョコの箱を風磨くんに渡している小鳥遊さんの姿があった。
「風磨くん。私、風磨くんのこと好きなの。付き合って欲しい。」
「……ごめん。俺付き合うとかよくわかんなくて。。」
「……他に好きな子でもいるの？」
「え。」
一瞬世界が無音になった。まるで、風磨くんの答えを待っているかのように。
なんて答えるの……、風磨くん。
「それって篠宮さん？」
無言だった空間を断ち切るように小鳥遊さんの口から出た私の名前。
「は？いや、あいつは……」
「幼馴染なんでしょ？知ってるわ。」
「違うんだ。あいつは、幼馴染なんかじゃないよ。」
その瞬間、鈍器で頭を殴られたみたいに頭が動かなくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：麗櫻姫 | 作成日時：2024年1月29日 0時
