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ー放課後ー
「さくら帰るぞ。」
「あ、うん。ちょっと待って。」
おっせーな、と言いつつも待ってくれる風磨くん。
何気ない風磨くんの動作に胸がキュンとなりつつも、ただの幼馴染なんだと自分に言い聞かせる。
「おまたせ。」
「ん。行こ。」
風磨くんは学校を出ると私の手をぎゅっと握る。
大切そうに優しく握ってくれる。
そんな風に風磨くんと帰る毎日が、大好きなんだ。
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「風磨くん、またね。」
「ん。じゃあまた明日な。」
そう言って私の頭を撫でて帰っていく風磨くん。
これもいつもの事。
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「ただいま。」
「おかえりなさい。おやつ冷蔵庫にあるわよ。あ、それとあんた来週どうするの?」
「来週?」
「バレンタインよ。今年も風磨くんにあげるんでしょ?
それならさくら、今年は高学年だから手作りでもしたら?するならお母さん、手伝うよ?」
「あ。。ごめん、ちょっとまた後で。」
「はいはい。やるなら早く言ってね。」
「わかった。ありがとう。」
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バレンタイン……か。
そう聞いて思い出すあの可愛い笑顔。
何度も何度もされているはずの頭ポンポンを急に思い出して顔が勝手に赤くなる。
「……はぁ。もうほんと思わせぶりなこと、しないで欲しいなぁ。」
幼馴染って、1番微妙な関係性だと思う。
近いようで遠い、遠いようで近い。
だから私は考えてしまうの。
「風磨くんと幼馴染じゃなかったら、彼女……とか、なれてたのかな。」
って。
部屋に飾ってある卒園式の時のキス写真。
あれを忘れたなんて言わせないよ?
「すき……風磨くん。だいすき。」
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バタバタバタバタバタ!!!!!
「お母さん!!手作りするから手伝って〜!!!」
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作者名:麗櫻姫 | 作成日時:2024年1月29日 0時