■龍太 ページ40
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どんな顔をして会えばいいのか分からなかった。でも、ただ、会いたかってん。
「龍太くん」
「お、来たか」
「んふふ、タピオカミルクティー持って来たで」
「おー!ありがとう!」
どレミゼラブル。見に来て欲しいと連絡をした。というか、康二経由でチケットを渡した。
時間が空けば空くほどダメになる気がしてん。元にも戻れない、前にも進めない、何にもなれない、そうやって一番遠くに行ってしまうのが何より嫌やった。
「ちゃんと飯食ってるか?」
「ん。この前康二とご飯食べた」
「台風大丈夫やった?」
「康二の家泊まってた」
「ふは、康二ばっかりやん」
「んーー、やって康二しかおらんもん、」
「濱ちゃんとか紫耀もおるやん」
「でもぉ、」
「俺もおったで?時々やけど」
「……ずるい」
罪悪感なんて持たんでええ。むしろ俺は優越感でいっぱいやで?お前にただ1人選ばれた人になれたんやから。
「A」
「ん?」
「頼ってや」
「………」
「まぁ、またすぐ関西帰ってまうねんけど、」
「龍太くん、」
「ちゃんと連絡して。会える時は会おう」
「…わたし……龍太くんのこと、傷付けてない?」
そんな悲しい顔すんなや。んなわけないやん。
そりゃあ時々苦しくなる。でもそれは傷付いてる訳やない。好きってそういうもんやん。
「俺、Aと会えてこんなに嬉しいのに、傷付いてると思う?」
「………」
「たまにはご飯行きたいし、お泊りやってしたいんやけどなー?Aはしたくないんかなー?」
「……たい」
「え?」
「…したいもん」
ああ、世界で一番可愛い。
このまま抱き締めて、目一杯キスをして、あの日々に戻っていきたい。
でも、そんなこと出来ひんから、そっと君を抱きしめることくらい許してほしい。
「りゅうたくん、」
「ちょっとあんま見んといて」
「………」
「あかんで、これ以上は」
これは友好のハグ。それ以上でも、それ以下でもない。俺なりの境界線。
それが、みんなと同じになる勇気も、君を連れ去る勇気もない俺のちっぽけなプライド。
「大丈夫。いつだってAのことが大好きやで」
それでも君を心底想っていることが、どうか伝わりますように。
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パピコ - 大人と大西くんの絡みが見たいです (2020年3月5日 9時) (レス) id: c96c564d35 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんすけ - 素敵な文章で一気読みしてしまいました!大人ヒロインちゃんと康二に幸せな未来が訪れますように!!! (2020年1月6日 6時) (レス) id: 57a24d82e0 (このIDを非表示/違反報告)
ラッコ - えーーー!!!宮近さんとどうなっちゃうのか気になりすぎます!!ありがとうございます!好きですこれからも更新楽しみにしております (2019年12月31日 4時) (レス) id: 5b926bea01 (このIDを非表示/違反報告)
yrniiiii2525(プロフ) - いつもたのしく拝見させていただいています!大人ヒロインちゃんと大吾の絡みがめちゃくちゃ好きだったのでそろそろお近づきになってくれることを願っています!!! (2019年12月14日 23時) (レス) id: d6c179e51a (このIDを非表示/違反報告)
誉(プロフ) - あべちゃん!!他の人とは違う嫌われ方ですごく良いです!好きです! (2019年12月10日 0時) (レス) id: 1ecb5a4891 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aoi | 作成日時:2019年8月19日 12時