お姫様は関西Jr.でした。８

■康二 ページ44

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「A、おいで」




照くんから連絡が来て、仕事が終わったあとテレビ局に駆けつけた。


いつかこうなるやろって思ってた。寂しがりやのAやから。誰かが側におらなあかん。今までたくさんいた人が急にゼロに近くなれば、理性で頑張ろうとしても本能が耐えられるわけない。


下を向いたまま動こうとせんAに近づいて、ダランとなってた手をソッと持ったら、少し震えてた。




「A」




今までなら抱きついて来てワンワン文句言うて泣いて怒って、感情むき出しにしてたAがこんなにも我慢するようになったのはなんでなんやろう。



東京に来たから？Jr.やなくなったから？



きっとそれだけやないと思うねん。やって、そうやないと抱き締めようとした俺の手を振りほどく理由が見つからん。





「あ、ごめっ」

向井「A…何が、あったん？」

「渡辺さんとちょっと言い合いに」

向井「それやなくて」

「………」

向井「なんで？」





もっと上手く聞きたいのに言葉が見つからん。なんて聞いたらええん？何を聞いたらええん？





向井「A」



「………」



向井「好きやねん。ずっと。」





こんなこと先に言うなんてずるいかなぁ。






向井「俺に頼ってよ」





俺に抱き締めさせてよ。今までみたいに俺の腕の中で泣いて、笑って、それじゃあかんのん？







やっぱ無理やねん。お前が、誰かのになるなんて。






向井「龍太くんやろ」

「……は」





本当はずっと感じてた2人の距離感の変化。クリパぐらいかな？明らかにAが龍太くんに見せる顔が変わって、いつの間にか龍太くんの顔も変わってた。



でも気付かんふりしてた。やって嫌やし。それに、Aにこんな顔させといて認められるわけないやろ。





向井「A、誰も見てないから。我慢せんとって、全部教えてや。Aの思ってること」

「……ずるい」

向井「俺やって大人になってんで」

「こう、じ」

向井「ん？」




ああ、やっと手を握らせてくれた。



そのままその手を引いて今までみたいにスッポリ抱きしめれば、もう抵抗されることはなかった。



今まで俺たちはいつだって同じ気持ちを共有して来た。良くも悪くも近すぎて、依存しあってた。



なぁ、やっぱAがおらんとか無理やわ。




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平和じゃないフラグ。

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