お姫様は関西Jr.でした。８

■翔太 ページ35

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なんで女なんだよ、なんてずっと思ってた。



何気に歴は1年くらいしか変わらないから、あいつもそれなりに苦労はしてるんだと思う。ただ、別にジャニーズである必要はないだろう。



ダンスもできる、歌もまぁそれなり、演技もできる、ほんの数回しか一緒に仕事をしたことはないけど、スキルが高いことは分かってる。だからなおのこと、どこでもやれる。





渡辺「実際さ、康二となんかあるっしょ」

岩本「えぇー、さすがにないんじゃない？」

渡辺「いやだって距離感おかしいじゃん」

岩本「でも康二って距離感馬鹿じゃん」

渡辺「まぁ、確かに」





風紀を乱すな、なんて絶対俺が言えたセリフじゃないけど、この男臭い世界の中で女1人に気を使わなきゃいけないのも、好きだの嫌いだのあるのも面倒くせぇ。



いやまぁ、一緒のグループになるわけじゃないし、ただ女優さんと共演すると思えばいいのか。





渡辺「ラウールくそ懐いてんな」

岩本「若ぇな」

渡辺「あいつも距離感馬鹿だよな」





でもやっぱり、関わり方が分かんねぇ。いや、関わる必要もないのか。



無駄に関わって傷つけ合うなんて面倒くさいことはしたくない。




渡辺「俺は無理だから」

岩本「そう言うなって。これからしばらく一緒だぞ」

渡辺「仕事はちゃんとやるよ」





そう言ったにも関わらず、少しAの名前に敏感になっているのは事実だ。



グループの仕事に戻れば康二がやたらとAの話をしてて、目黒やラウールとAのCMの話で盛り上がっていた。ああ、そう言えば紫耀とCMにも出てるのか。





向井「翔太くん！このAめっちゃ可愛くないですか？」

渡辺「え、あぁ、そうだな」





可愛い。ただ、だからと言ってジャニーズであることを受け入れることは出来ない。





向井「翔太くん、Aのこと理解(わか)らないですか？」




康二は悲しそうな顔をしていた。


やっぱりお前らできてんだろ、とは到底言えない。




向井「女がジャニーズである必要なんてどこにもないけど、あいつは必死にその運命と戦ってるんです。負けないように、舐められないように」

渡辺「それはみんな一緒じゃん。みんな戦ってるよ。女がジャニーズである必要なんてねぇってお前自分で言ってんじゃん」

向井「でも、あいつはジャニーさんに選ばれました。それが全てです。」




なんだよ。お前そんな男の顔すんなよ。



まるで俺が悪者みたいじゃないか。



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