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布団をぎゅぅっと握り締め、顔を俯いていると
「お嬢様。」
花を花瓶に移し替え、窓の方に飾ってから口を開く藤堂。
自然と顔が上がり、藤堂と目が合った。
「旦那様と奥様はお嫌いですか？」
なによ今更。
私が両親を大嫌いなの知ってるくせにわざわざと聞いてきたから
あ「大っ嫌いよ。あんな親。」
もはや自分の親だとは思ってないけど。
「これは、旦那様にも奥様にも内緒ですよ？私の独り言だと思って聞いててください。」
クスッと笑って作業をしながらそのまま話始めた。
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「お嬢様が誕生する前、旦那様と奥様の間には中々子宝に恵まれませんでした。
ですが、奥様の不妊治療を経てついに子宝に恵まれ、お嬢様が誕生したのです。
それはそれは旦那様も奥様もお嬢様を大切に、大事に育て、とても可愛がり、何不自由なく美しくお嬢様は成長致しました。」
まるで、おとぎ話をしてるような口調で淡々と話す藤堂に
私は耳を傾け、静かに聞いていた。
「その時、旦那様は思ったのです。
このまま娘を甘やかしたまま育てていいのだろうか、と。
将来は九条グループの後継者となるお嬢様はその地位に相応しい女性でなくてはなりません。
そこで旦那様は奥様と話し合った末、心を鬼にしてこれからはお嬢様を
厳しく育てることにしました。」
藤堂の話は本当におとぎ話のように感じて。
「ピアノ、ヴァイオリン、茶道、華道、５ヶ国の言語、全て完璧にこなし、そして端正な容姿。
全てが完璧でした。まぁ、家事を除いてですが。」
あ「…うるさいわね。どうせ嫁にはいけないわよ。」
私を横目で見てからまたクスッと笑うから
思わず口元を尖らせ、嫌味ったらしく言い放つ。
「厳しく接するあまり、旦那様と奥様は年頃のお嬢様への接し方が分からなくなり、
反抗するようになったお嬢様へ更に厳しく当たるようなってしまったんです。
実は、ここだけの話ですが、お嬢様の学校行事やコンクールなどには欠かさず足を運んでいたんですよ。」
あ「えっ、そうなの？」
「はい。お嬢様には見つからないようわざわざ変装までして。
どんなに仕事が忙しくても、お嬢様の晴れ舞台には何が何でも観に行ってました。」
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作者名：rion
| 作成日時：2018年9月7日 10時
