紅一点の白雪姫は。 (ページ30)

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勢い余って踵のヒールがカクッと段差から落ちて

体が後ろへ倒れてく。

「Aさん！！」

手を伸ばす波木さん

私も反射的に手を伸ばすけれど

ギリギリ届かなくて。

まるでスローモーションのようだった。

視界が波木さんから真っ青な空に変わり、

体が宙に浮いてるように感じた。

その後何度も身体中が階段に打ち付けられて

鈍い音がする。

打ち付けられた衝撃で身体中が痛い。

…あぁ。私死ぬのかな。

そう頭を過ぎった。

ただ、紫耀に会いたかっただけなのに。

私の何がいけなかった？

私が紫耀を追いかけたから？

段々と朦朧としてくる意識

ポタポタと降り出した雨は、アスファルトと私の体を容赦なく打ち付けた。

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「A！！」

紫耀…？

意識が途絶える直前、大好きな人が私を呼んだ気がした。

私、幻聴まで聴こえるようになっちゃったんだ。

相当重症だな。ははっ。

そのまま、ゆっくりと瞼が閉じ、私の意識は途絶えた。

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