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私の前を突然立ち塞がる燕尾服を身に纏った男。
あ「なっ、なんであなたがここに…！？」
バトラーの藤堂だった。
藤「お嬢様、屋敷に帰りましょう。」
あ「…嫌よ。あんな家絶対帰らない。」
藤「ですが、旦那様からのご命令でして。少々手荒くなりますがお許し下さい。」
そう言うと私に深く頭を下げてから
あ「ちょっと！何すんのよ…！」
一緒に来ていた使用人に両腕を掴まれる。
あんな家に戻るくらいなら死んだ方がマシ！
二度と顔合わせたくなくて家出てきたのに
引き戻されたら家出の意味がなくなる。
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だから、
あ「紫耀っ！」
必死に抵抗しながら紫耀の名前を呼んだ。
なのに、
あ「しょ、う…？」
彼は顔を俯いたまま、こっちに振り向くことはなかった。
私と目を合わそうともしなかった。
俯いてた彼の横顔が、
悲しげだった。
どうして…？
って自分で考えても答えなんて分かるはずもなくて。
「Aお嬢様、おかえりなさいませ。」
数ヶ月ぶりに帰ってきた家は、沢山の使用人に出迎えられ、
あの人と同じ空間にいると思うととても居心地が悪い。
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コンコン、と藤堂が書斎の扉をノックした後
藤「旦那様、お嬢様がお戻りになられました。」
「入りなさい。」
久しぶりに耳にした、あの人の声で
扉が開かれる。
私が部屋に入ると、藤堂は頭を深く下げてから扉を閉めた。
「久しぶりだな、A。」
私に背を向けたまま、口を開くは
あ「…お久しぶりです、お父様。」
大嫌いな自分の親。
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作者名：rion
| 作成日時：2018年9月7日 10時
