#31 ページ34
＊
「あ、広臣
どうしたの？」
振り向くと険しい顔の広臣
臣「...これ忘れてた」
差し出されたのは私の携帯
「あ、ありがとう」
受けとった携帯を見つめる私に
臣「なんでトレーニングルーム？」
少し強い口調
顔を上げると扉の先を睨む広臣の視線
「朝、岩ちゃんに誘われて、」
そこまで言いかけたけど
え...
なんでそんな表情するの...
切なくて、寂しそうで、悲しそう。
広臣の意味ありげな表情
まるで嫉妬してるみたいな...
ありえないけど、
そう思っちゃうよ
私、自惚れてるのかな
臣「...そう。じゃ、お疲れ」
そう言って去っていく後ろ姿
待って、どうして？
そう言いたかったけど
呼び止めたかったけど
岩「お疲れ様、Aちゃん！」
「岩ちゃん...」
部屋から出て来た笑顔の岩ちゃん
岩「あれ、臣さん？」
廊下をどんどん歩いていく
そして、どんどん遠くなっていく広臣の背中
「携帯、スタジオに忘れてたみたいで
届けてくれたんです」
ふーんと言って
岩ちゃんは
携帯を持つ私の手に
自分の大きな手を重ねる
岩「そう言えば、
まだ連絡先交換してなかったよね」
「あ、そうでしたっけ」
岩「忘れないうちに♩」
ずっとにこにこしている岩ちゃんに
私も笑顔で返すけど、
なんだか少し引きつった笑顔になってしまう
だって、
頭の中は、広臣のさっきの顔でいっぱいだから
広臣。
なんで？
教えて、
どうしてそんな顔で見つめたの？
はぁ、とため息をつくと
岩「どうしたの？なんか心配事？」
心配そうに見つめる岩ちゃん
しまった、
「いや、なんでもないです！」
慌ててごまかす
岩「そっか。...はい！入れたよ！」
気づけば携帯の画面に”岩田 剛典”の文字
そしてぎゅっと握られた右手
岩「何かあったら、すぐ連絡してね」
いつもより少し、低い声
なのは、気のせい？
「は、はい！」
岩「よし♩じゃ、行こっか」
＊
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作者名：ぬん | 作成日時：2016年10月2日 2時
