お姫様は関西Jr.でした。2

▽異変(大晴side) ページ38

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ついに松竹座の幕が開いた。



なのに、それなのに、





石澤「もも？」

「あ、え、なに？」

石澤「いや、ボーッとしてたから」

「んーん！大丈夫！」



ももの様子がおかしい。



明らかに空元気で、何より晴太郎を避けてる。あとボーッと福井くんを見てる。



福井くんはまぁあれやけど、晴太郎に関しては今までそんなことなかったのに。ファンの子に絡まれたのが原因？分からん。俺はその場におらんかったし、詳しくは話してくれんし、何も分からん。





「大晴！最後にフリ確認しよ！」

福本「ええけど、」



ただ俺のとこにいつも以上に寄ってくることが増えたのは分かる。



そんでその後ろで晴太郎が悲しそうな顔してる。え、告った？



待って、ついていけん。どうなってんの？





福本「晴太郎と喧嘩でもした？」

「んーん？なんで？」

福本「いや、避けてるから」

「…避けてないよ」

福本「そ、か、」





それ以上は聞けない。


聞いていいのか？


ももに何かあった時、話を聞いてやるのは晴太郎や宏志朗くんの役目やった。俺はいつも聞けない。





何故？分からない。



怖い？何が？



近すぎるから？そんなことない。



現実を見たくないから？そんなん逃げてるだけやん。



どんな理由見つけても全部全部言い訳でしかなかった。





福本「もも、今日終わったら飯行くぞ」

「えぇー、急！」

福本「ピザ以外やけどな！」

「はぁー？！」




ダサい。まじでダサい。



公演が始まれば、ももがどこにいるのか、いつ目があうのか、いつすれ違ってちょっかいかけるのか、何もかも全部手に取るようにわかるのに、今何を考えてるのかは全然分からへん。



俺はシンメ以上にはなれへんのかな。






「お疲れ、行こ？」

福本「あ、うん。」

「なに食べるー？」

福本「さっぱりしたもの」

「ほな軽くうどんとかでえっかー」

福本「おー」



好きって思いがこんなにも邪魔なものなんて思ってもみんかった。



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