▼甘えた丈くん ページ14
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リチャードから届いた、丈が限界ってLINE。今日はももちゃんと合わせるって言うてたから、なんとなく何が起こってるかは想像できた。
康二や大吾との打ち合わせを終えて、すぐに稽古場に行ったけどもうお昼で、やっぱり遅かったかな。
部屋に入った瞬間感じたみんなの疲れた雰囲気は、踊り疲れただけじゃなさそうや。
「丈一郎、あかんやろ。仕事なんやから」
藤原「うっさい黙れ」
「もう、子どもみたいなこと言わんの」
藤原「俺お前より年下やし子どもや」
「あらら、めっちゃ拗らせてるやん」
末とのソロ曲のやつからずーっと拗ねてる藤原さん。
本当独占欲強いなぁ、なんてわたしが言えることじゃないか。こうなることなんて分かってたし。
「丈一郎、おいで」
藤原「お前が来いや」
拗ねた丈一郎の機嫌を直すには、存分に甘えさせてやるしかない。
しっかり者で計算高くて、素直に甘えるのが苦手な丈一郎。そんな丈一郎が甘える存在は私だけでいい。
下を向いてこっちを見ようともしない大きな子どもを抱き締めれば、背中に回った腕は痛いくらいに力が入っていた。
「ほんまは丈一郎とあの曲したかったよ?」
藤原「でもお前が末選んだんやん。なんか誠也とか言うてるし、歌いながらイチャイチャしてるしさぁ」
「だって丈一郎とやったらリアル過ぎるし、絶対我慢できんやろ?」
藤原「なにを?」
「んー?丈一郎を独り占めしたいって気持ち」
そう言えば胸にぎゅーって顔押し付けてきて、グリグリって。
かわいい。赤ちゃんみたい。
藤原「お前俺の」
「うん」
藤原「どこにも行くな」
「うん、行かんよ」
藤原「もう末澤に触られんの禁止」
「えー、それは厳しい」
藤原「はぁ?」
「善処しまーす」
わがままで、子どもで、自分勝手。
自分には彼女がいるくせに私のこと離さないで、私には他の男が寄り付くこと嫌って、縛り付けるの。
そんな曖昧で苦しい関係。
藤原「なぁ、今日行っていいやろ?」
「今彼女の家から通ってるんでしょ?」
藤原「ええ、お前がいい」
「そんなこと言って」
藤原「お前より大事なもんなんてない」
きっと私たちは永遠にくっつくこともなければ、離れることもない。ずっとこんな曖昧な関係なんだと思う。
だけど、それでいい。
その距離がお互いの何かを守るタメに必要なんだと信じてる。
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彩(プロフ) - 龍太くんとの絡みが見たいです! (2018年7月2日 20時) (レス) id: eee4c66918 (このIDを非表示/違反報告)
ふなめろん(プロフ) - 丈一郎くんとのお話がほとんど似た内容というか表現、言葉でTwitterに載せられてますがaoiさんではないですよね(>_<)?大丈夫ですか? (2017年6月28日 3時) (レス) id: 85cd6ef50d (このIDを非表示/違反報告)
ピンクジャスミン - お姉さんの名前が出ててビックリした。 (2017年3月31日 16時) (レス) id: e4efacc99d (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています!毎回この通知がくるとワクワクします!私は主人公ちゃんがすきです!過去の話すごく気になります! (2017年2月4日 13時) (レス) id: 0de130e4a5 (このIDを非表示/違反報告)
らびっと(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます!主人公ちゃんの過去の話?(少し触れていたやつ)を回想として見たいです! (2017年2月2日 9時) (レス) id: 20d02c6305 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aoi | 作成日時:2016年12月28日 19時