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「俺、いつまでこんなん続けなあかんのやろか。いつまで好きでもない男に抱かれなあかんの。俺やって、ああいうことは好きな人としたいのに。」
ぽつりぽつりと本音が零れていく。
あんまりにも悲痛なその叫びに俺まで胸が苦しくなって、今まで1度も俺から触れたことのなかった望に手を伸ばした。
ずっとずっと触れたかったその髪は想像の何倍も柔くて、なんだか俺がさわっちゃいけないもののように思えてすぐに手を引っ込めた。
「流星。俺のこと好き?」
引っ込めた筈の手は気付けば望にとられていて、涙を流す望と目が合った。
「なぁ、流星。俺のこと好き?」
いつもと変わらないといかけ。
不安そうな望を少しでも安心させたくて、なるべくいつもと変わらない声色でいつも通りに答えた。
「好きやで、望。」
いつも通りに答えたその一言に望はとうとう声をあげて泣き始めてしまった。
こんな望を見るのは初めてでどうしてあげるのが正解かもわからなくて、ただただ望の手を握り返すことしかできなかった。
「……抱いて。」
「え?」
「抱いて、流星。」
「でも、望好きな人としかしたくないって。」
「お願い。」
戸惑う俺の返事はとうとう言葉になることがないまま、ぐっと引かれた腕に身を任せて二人で布団に身を落とした。
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作者名:∞侍 | 作者ホームページ:http://kageroupurozixekuto
作成日時:2019年7月29日 21時