「俺だけのプリンセス」 ページ30
・
『たまにはAの手料理食べたいな』
なんて珍しく舘さんに言われたのは、ロケバスの中。
順番にロケをしてて、私と舘さんは休憩に入ったとこで、ペットボトルを手渡しながらそんな事を言われた。
くるくると蓋を回して、口をつけながら思い返したのは最後に手料理を振舞ったのはいつだっけ？てこと。
「んー、舘さんの方が美味しいからなぁ」
「そういうことじゃないんだよ？」
「……んふ、じゃあ何が食べたい？」
あれだよね。
私が作ったものが食べたいって言うんでしょ？
その熱い視線は絶対に引かないよって意思が込められていて、引くに引けないなって。
.
舘さんが食べたいって言ったものが余りにも意外だった。
その材料なら、家にあるもので作れるからって買い物には行かずに仕事が終わってそのまま二人で私の家に向かう。
「どうぞ」
「お邪魔します」
と言ったのに上がらずドアの前で突っ立てる舘さんに、「どうした？」と聞けば「Aが先に入りな」だって。
こんなところでもレディファーストとは。
部屋に入って手洗いをしたあと、舘さんにはリビングのソファで寛いでいてもらう。
今日は最初から家でご飯を食べるつもりだったから、この時間に炊けるように予約もしておいた。
まあ炊きたてご飯の良さは消えると思うけどね。
「テレビ面白くない？」
「観たいものがない。ていうよりも、Aの傍に居たいなって」
リビングに居ればいいのに、そんな甘えたことを言って隣にやってきた舘さん。
「ねえ、なんで……雑炊なの？」
じっ、と見られてるだけってのも居心地悪くてさ。
卵を割って、菜箸でカラカラと掻き混ぜながら聞いたみた。
「覚えてる？ 俺が熱を出して数日寝込んだ時のこと」
カシャカシャと満遍なく掻き混ぜて、それをグツグツと煮込まれてる鍋の中に少しずつ入れていく。
「うん、覚えてる」
あれは確か二十歳をすぎたくらいだったかな。
舘さんが実家を出て一人暮らしを始めた頃だった。
あの日仕事が終わって事務所に寄れば、レッスン終わりだった舘さんと翔太に会って、いつも通りに見えたけどなんかいつもより覇気がないというか、少し顔も赤いというか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3676人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みぃ(プロフ) - TwitterのDMを送らせていただいためぐみと申します。最近SnowManを知って、一気に読み進めてきました。切なくて涙がとまりません(>_<)続きも楽しみに読ませていただきます。 (2022年12月25日 19時) (
レス) @page47 id: 6ed58a0011 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» コメント、リクエストありがとうございました！遅くなってしまってすみません。ほんとはもっと賑やかものがいいかなって思ったんですが終盤なので、作品と絡めたら暗い感じになってしまって(汗)ちょっとでも楽しんでもらえていたら嬉しいです！ (2021年9月4日 18時) (レス) id: bf817d2202 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんばんは☆ﾘｸｴｽﾄ、ありがとうございました♪ﾒﾝﾊﾞｰさんの反応はどんな感じなのかなって、完全な思いつきだったので、こんなｽﾃｷなお話にしていただき、感謝しかありませんv(￣ー￣)v ありがたや〜☆ (2021年9月3日 18時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年8月17日 13時
